医療逼迫を伝えられないテレビ
6局あれば6局が同じ切り口、内容で番組が進んでいくことにわだかまりが絶えない。真意やリアルな話はコメンテーターの立場や力頼り・・・。
がっかりします。
以前の記事に、標準予防策~感染症の種別に応じて防護を強め、対策を工夫しなければならないこと、対応する度に着脱が伴い動作が増え、作業効率が下がってしまうことなどを記事に書かせてもらいました。https://note.com/hakataokatte/n/nd8dff4c3ce3d
大阪の医療逼迫はコロナ患者急増によるものだと思いますが、それを解説している報道番組やワイドショーが、『何故逼迫するのか、』と言うところをぼやっとしたまま解説が終わることが残念です。
患者に対して病床が足りない
それは何故か?
・もともとの施設環境から増床対応できておらず環境が追い付かない
もちろんそうです。
でも、それだけでしょうか?
昨年、医療逼迫の当初はそういう理由に落とし込んだ報道が殆どでした。今年になってようやく人員配置や人材育成に時間がかかることがチラチラ出るようになりましたが、オブラートに包んだような、現状からは遠い内容と感じています。
日本看護協会の2018年(コロナ前)資料によれば、全体の離職率は10.7%と経年と著変はない値で終えています。調査の内容から、
・公的病院、大病院より個人、小規模病院、福祉法人の方が離職率が高い
・新人看護師は大規模病院、小規模病院、福祉法人で離職率が高い
ということが書かれている。
コロナ対策に必要な病床を増やすには治療病床と後方病床の両方を増やさないと賄えない。
①重傷者を治療後、後方支援病院へ転送したくてもそこに人材がない
②後方支援病院でコロナ患者を受け入れようとすれば、慣れない対応を負担に感じ離職者に繋がる
③大病院は重傷者治療に携わることは可能だが、対応できる看護師は毎年一定数退職してしまう
④大総合病院は新人の離職が高く、人材育成のコストが高い。高いレベルの教育を行い続ける既存のスタッフの負担が強い。結果、新人、戦力スタッフともに離職する
コロナ禍での離職や就業状況についての調査報告を、早急にやってほしいと思う。
今朝のテレビ番組の中で、看護師の人員配置基準について触れられていたが、
重症病床は 患者2人に看護師1人
一般病床は 患者7人に看護師1人
そんなもんでいいの~??と思いませんか?トップの画像を見てもらうと、この状況の患者さん2人を自分一人で対応していく、出来ます?
おむつを替える、体の向きを変える、体を拭いて更衣する、リハビリを行う、歯磨きをする、食事の支援・・・などの他に全身状態の観察や投薬、医師の指示の元処置やリハビリを行います。
患者さんの体が大きければ一人で持ち上げる、動かすなど難しいですし、
重傷者でなくても体に治療上の管やモニター、附属物が装着されていれば、医療事故や患者さんへの負担軽減のために最低2人以上複数名で対応にあたります(私も集中治療室で勤務していました)。
看護師の人員配置基準はあくまで、
ただ観てるだけの看護についての人員だと、わたしは理解しています。
更に、医療は24時間体制、交代勤務です。
例えば、重傷者2名に看護師1名として考えても、
二交代 一日2名
三交代 一日3名
必要になります。
休みも必要です。休んでる間にも誰かはその重傷者を看ています。
夜勤明けのスタッフも居ます。
重傷者の2:1看護の場合
二交代なら1重傷者に対して4名の確保、三交代なら5名の確保が単純計算で必要になります。そこを報道してほしいです。
スタッフも普通の人間ですから、風邪を引いたり体調を崩すこともあるでしょう。そういう時にどうなるのか、どう補填するかはその施設の日頃のマンパワーの状況によると思います。
コロナ禍で、慣れない対応、業務負担増、スタッフの教育の加速、すごいストレスがかかっている現状が有ります。
中小病院は、大総合病院に比べ給与や福利厚生が劣る現状もあります。
あくせく働かずゆっくり看護をやりたいという想いでそういうところに就職しているスタッフも多い中、「コロナに協力してください。」は、仕方ない状況は有りますが現実的でしょうか?将来は大丈夫でしょうか?
スタッフの確保、教育にはすごく時間がかかるのです。
スタッフ存続は、医療現場の永遠の課題なんです。
本当の医療崩壊はこの後来るんじゃないかと、私は危惧しています。
2020年コロナ禍に開業した看護師です。ワクワクが止まりません。Withコロナはまだ続きますが、継続していけますように応援お待ちしております。