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レトロゲームの思い出〜FF7は人間の業もてんこ盛り〜

※ネタバレあります。あと、かなり個人的な解釈でもあります。苦手な人はブラウザバック!

ファイナルファンタジー7は、未だに色褪せることのない、近年リメイクされたことで令和にも通用するファッションアイコンになっている。しかも、登場人物の多くはスピンオフ出来そうなパワーがあり、主役級の輝きを放っている。

ストーリーは地球を救う物語でベタ普遍的な作品であるが、皆さんはどんなイベントが印象に残っているだろうか?

私にとってはサガともいえるドロドロとしたアダルティな部分がインパクトを残している。宝条ェ…。

神羅カンパニー、やりすぎ

まあ人によって、あの地味なエンディングの解釈も違っていただろう。解釈を委ねるにしても、あのエンディングはレッドサーティンに任せすぎではないかと思った。その後のスピンオフの作品は自由に構想を練れたかも知れないが、再建したセブンスヘブンのバーで、元気に何でも屋でもしてそうなクラウドさんの後ろ姿ぐらい欲しかったかな。興味あるね、無いね、どっちやねん。

基本ネタバレクタバレだが、FF7はもうとっくにネタバレしてよいレトロゲームだろう。

この作品が生まれた時代に合わせたテーマがあるとすれば、まあ誰もが粗方、予想がつく。先ず、マクロの視点では地球のエネルギー問題だろう。神羅カンパニーが管理している魔晄炉とは、言うまでもなく原発を指す。怪しい光を放つウラン放射性物質=魔光石だ。もちろん、魔光中毒という設定もある。
科学技術で地球に穴を開けて、エネルギーであるライフストリームを組み上げている。マテリアはそのエネルギーが凝縮した結晶で魔法の存在にまで広がっていく。便利な生活が送れる地球エネルギーには感謝というシンプルなものでもない。インフレーションを目前にチカラを管理しないといけない危機感。直接、地球を傷付けている罪悪感が重苦しい。
ミッドガルから出た時には、青空が広がるフィールドがお目見えし、地球まだ使える。正直にそう思った。神羅とミッドガル、やり過ぎ。田舎暮らしもあるやんか。

それだけでは堅苦しい。当然、プレイヤーも感情移入できるように配慮されている。クラウドさんはちょっとお茶目な男の子が憧れる弾けたアイコンだ。多くはそのファッションに魅了されたことだろうが、社会的に真面目なメッセージを付与している。

「あえてミニスカ」

「それティファ」

自分を受け入れた主人公クラウド、拒絶したラスボスのセフィロス


重要なネタバレだが、クラウドさんは色々あって自分がソルジャーであるという虚像を演じており、記憶の断片を都合よく繋ぎ合わせて妄想のなかでソルジャーに成り切っていたのだ。
思い返すとエアリスのデートイベントであった観覧車のシーン、本当のあなたを探している、だったかな?ただまさにクールなクラウドとは別に、本当の彼を見抜いていたような発言があった。

当時は自分探しが流行っていたし、クラウドはきっとそんな自己実現の虚像から復帰できた若者だという解釈はどうだろうか。

自己実現の虚像?また極端な解釈かと思われそうだが、私の経験上、自分探しは虚像。

先に謝っておくが陰謀論者でごめんなさい。
当時を振り返ると、すでに中流階級潰しが始まっていた。ゆっくりと茹でガエルのように中流システムが壊されていく一方で、必然的にあぶれた若者たちには自己実現だとか体のいい言葉を投げかけていた世の中。ゆるい宗教家が言いそうな言葉を社会が代弁するのは如何なものか。不自由な自由を与えて、虚像を追わせていたというのが真相だ。数人は夢を掴んだのだろうけど。そんなにポジションはないというのが現実だ。若さや親のカネがあるうちには分からない。
令和になって自分探しなど意味がないと、いまの若者はデフォルトで看破してしまっている。賢い、けど、タイパねぇ。でもやっぱり、賢い。
熱いうちにメッセージを受け取った私は、クラウドさんのように遠回りしても試練を乗り越えて自分を受け入れれば、やがて肩書き(ソルジャー)を超えられるかもしれないと解釈できた。忘れもしない。一般兵としてニブルヘイムに帰郷したとき、ティファの危機にセフィロスとタイマンで勝負して勝ってるんだよ。根性ある。見習わないと。

さてクラウドの対極にあったのがセフィロス。クラウドさんとは逆に最高地点から落ちぶれていく。
彼は自分の出生の秘密を知るまでは誰もが憧れるソルジャー筆頭、竜をも倒す英雄であった。しかし、実は自身が化け物であるという出生の秘密を知り、自我崩壊。
地球外生命体のジェノバ細胞から生まれたという事実を受け止められなかったというか、受け止め過ぎか。彼の行動はやけっぱちに思えた。

あのパーフェクトな見た目で、化け物ってそれはそんなに重たいことだったのだろうか。現代のルッキズムで解釈するのは間違っているかな。
しかし、驚愕の事実を知るまで、何の問題もなく皆が憧れる英雄として活躍出来ていたのだ。果たして、セフィロス自身のアイデンティティでジェノバ細胞に宿る滅びの意志にどこまで抗えたのか、抗ったのか?それはきっと彼自身にも分からないだろう。ただ、彼は不幸だ。ラスボスなのに変な曲を充てがわれて。「えっ?」

戦犯は宝条と、科学者という集合意識。噛ませのヴィンセント

ジェノバ細胞の研究をし、セフィロスを生み出したのが笑い方がキモい宝条博士。こいつが何故だかモテる。まあ、ルクレツィアという同僚を運命に取り込んだだけのことだが、女性の観察眼をくぐり抜けるのにまぐれというものは無い。
研究に一途だからか?恋愛に興味が無さそうでありながら、描写されていない少し優しいところがあったりして刺さる人に刺さったのかも。なんか選んだのが顔じゃないところに妙に現実感があって嫌だ。

そして、そんなキモ宝条の研究のためにルクレツィアは自ら志願して、セフィロスの母体として捧げるわけだが、こっからがもっと酷い。

ルクレツィアに横恋慕していたのが、あの超男前のヴィンセント。当時、タークスとして神羅カンパニーに勤めていたのだった。
彼は何度も彼女に考え直すように説得したがダメだった。ヴィンセントさん、実はこういうときの制止は、二人の愛の炎の火種になるんです…。また、科学者の自負心はキホン、自分がやらなくても結局は誰かがやるという、まあ、デフォルトでリユニオンしているんだよね。かと言って、相手の恋を陳腐化するテクニックなど、ヴィンセントが駆使したら逆に怖いけど。はい、もう運命論、乙!

結果は再三言う通りだ。悲恋をヴィンセントは味わったのだ。ダメ押しに、ヴィンセント自身も宝条に改造人間にされるという悲劇。もう神も仏もないんでチェンソー持ってこいって話ですわ。

あれよあれよと運命の歯車が回り、クラウドやザックスも捕縛された後に宝条の実験材料にされている。そこで魔光中毒?にされたクラウド。ザックスはクラウドを連れて脱走したが、自身は凶弾に倒れる。一体、どれだけの主人公たちの人生を狂わしているのか。ということで、宝条博士こそが元凶と言っても過言ではない。

しかし、彼自身も上司から研究を引き継いだ身なので、元を辿れば探究心を持つ人間の宿業。先程、説明した科学者はデフォルトでリユニオンしようとしている説の裏付けとはならないだろうか。結局、ジェノバ細胞の研究は誰彼が引き継いで、いつか必ずセフィロスを生み出していたことだろう。クラウド御一行がそこへ介入できたのは、地球の巫女とも言えるエアリスによる導きか。


運命に影響する人間の磁場

急に自己啓発的なことを言わせていただくが、宝条のようにひとつに集中するタイプは、他人の人生すら簡単に歪めるほどのエネルギーを持っている。淡々と目的をこなすので、無邪気であり悪意を嗅ぎ取ることも出来ない。クラウドら被害者たちがそれを打ち果たしたのだが、宝条は行けるところまでいった、よもや後悔はないだろう。ただなんとなく研究しながら、休憩室へ何度も飲みに行く奴らとは何線をも画するのだ。
なぜ、彼のような悪が成り立つのか。悪は私の解釈であり、才と運がある者がそれを成し遂げるために邁進しているだけのこと。結局、神は自ら動く者を止めようとはしないのだ。
まあ、ゲームの話ししていたんだけど、現実にも当てはまるんじゃないかな。だから、私が言いたいことはリアルにおいて、善悪関係なしにやったもん勝ちってのが、ひとつの答えでさぁ。宝条になれよとは言わんけど。

「興味ないね」

「クラウドさん!?スマブラの空後、スキなしでリーチと威力あるのはズルいて」

終)レトロゲームの思い出〜FF7は人間の業もてんこ盛り〜


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