フリーRPG「夜明けの口笛吹き」の思い出〜ラスボスに敗れ去る世界線〜
※注意!ラスボスのネタバレがあります。純粋に楽しみたい方は、この名作をプレイすることをお勧めします。
最近、ゲームの実況プレイばかり見ている。自分からプレイするのは、スマブラぐらいだ。特にRPGなんて滅多にやらない。
仕事が終わって、家に帰って2、3時間でもプレイしたら、多趣味でエネルギー効率が悪い私は、集中力を使い切ってしまう。
ゲームのプレイ動画をよく見るのは、実に楽だからだ。しかも、お金を払ってまで、クリアしないといけないという抑圧が生まれない、ああ、ラクだ。
ゲームパッケージの裏に、クリア所要時間30時間、サヨウナラだ。
そんな、私でも一大決心して、あるフリーゲームをプレイしてクリアした。ずいぶんと前のことだが。
タイトルは「夜明けの口笛吹き」。
タイトル名は、ある洋楽曲のオマージュ。洋楽バンドのギタリストの名前が作中で使用されていたりもする。もし、洋楽好きがプレイすれば、登場するギルモア先生は忘れられないキャラクターになるのではないでしょうか。
エピローグ
主人公のトトは、最下層のたゆたう海にて目覚めるが、自分の記憶を失っていた。そこに、黒い服を着た何者かが、主人公に語りかけることで物語が始まる。
とりあえず、階段を登った先の細道で、盗賊に襲われていた人を救出すると、娘が盗賊にさらわれました、助けてくださいと請われる。その娘の名前はクリシュナという。トトはクリシュナを探しつつも、上の世界を目指すというストーリー。
プレイ開始から、黒い服の男?との会話、掴みはオッケー。スタート地点が、羊水の海、雰囲気あるなぁと思った。トトという名前も、単にバンド名ではなく、赤ちゃんというダブルミーニングだろう。
このゲーム、村人に話かけるのが楽しい。作者が参考にしたのは、マザー、サガ、サンサーラ・ナーガなどの、数多の名作とのこと。(ストーリーの終盤は、エヴァさながらの???な展開になっていく。私は付いて行けましたゾ。)
(以下、ネタバレあり、ネタバレクタバレな方は、是非、ご自身でプレイしてください。稀にみる名作ですので。)
良いですか、それでは、続きを。
私がもっとも印象に残ったのは、ラストバトルで、私の油断により、パーティが全滅したことです。
なので、いきなりですが、ストーリーの核心部分とラスボスのをネタバレしてます。
このゲームに関する他の記事も、いつか書こうかなと。
ラスボスは、嫌な女
マルチエンディングなので、その節々で旅を終わらせる事ができるが、当初の約束を果たそうとすれば、クリシュナに会うために上へ上へと進むしかない。しかし、それは、まるっと仕組まれた陰謀だった。
あっ、言っちゃった!
そう、ラスボスのクリシュナはまさに、こんなノリである。
クリシュナは、作者がもっとも嫌いなキャラクターと言っていた。赤髪の女の子だというのに。
クリシュナは盗賊に拐われてから、奴隷として売られ、辛い人生を生きながらも、たまたま、世界創生、宇宙の法則を知覚してしまう。無から有を創造するチカラを得るに至るのである。
経緯は分からないが、多分、奴隷船の宝箱に猫が入ってて、「おめでとう、あなたは神です、確変です」と言われて、次の瞬間、謎の光にでも包まれたんじゃないかと、勝手に想像する。
クリシュナは、そのチカラを使って、好きなものを創造できるが、人格は卑屈で、軽率、言動がチカラに似つかわしくなかった。幼稚でプライドが高い。
あれ?私の胸が痛むぞ。
チカラを得ても、傷付くのが怖く、遠慮ガチに自分の要求を通そうとするところが、人の神経を逆撫でする。そんな印象のキャラクターだった。(ぉい、アダルトチルドレンじゃねーか!)
道中、トト(主人公)に依存
クリシュナが徐々にチカラに目覚め、自分の手による世界創生を計画したとき、アダム役として主人公のトトに目を付けたのも、彼が純粋で自分を傷付けることはないと踏んでのことだろう。
最後の最後に意地を見せようとするが、独りきりなのが哀しい。チートなチカラと幼稚なプライドが、最後まで彼女を孤独にすることの要因になっていたと思う。パーティでも組んでりゃ、結末は変わっていたかと。
ごめん、あー、思い出した、パーティー組んでたわ^_^
(追記: 実はクリシュナは、行く先々で黒騎士として主人公のパーティに参加していました。別に何もかもクリシュナが仕組んでいたという訳ではなく。彼女が奴隷にされたときもチカラなく仕方なくですし。経緯は分かりませんがチカラを得てから、主人公パーティからトトを引き抜こうとウザ絡みしてきた。あの時はまだチカラが完全ではなかったね。)
ラスボス戦にて、戦車で蹂躙される
私の経験ではRPGのラストバトルでゲームオーバーなった記憶が、ドラクエ4のデスピサロ戦以降なかったのだが、このゲームで久しぶりにラスボスによる敗北を経験した。
このゲームの戦闘バランスは秀逸である。はっきりいって、本職でいいじゃないかと思うくらいに、緊張感のある戦闘を楽しませてくれた。新しい武器が手に入るタイミングも良い。
ところがやっちまった。散策をテキトーにして、階段を登ると、クリシュナとの会話が始まって、あれよあれよとラストバトルへ。おい、回復してないし、どうしよう。
クリシュナは、別の世界から強そうなものを片っ端から創造して、それらをけしかけてくる。その中には、近代の軍事力があり、戦車があった。
そう、忘れもしない。戦車との戦闘。戦闘中に、あらゆる技、魔法、アイテムを使い切り、パーティは敗れたのである。国賊かのように。
負けイベントじゃない、だと…、絶望?認めないぞー!
↑(クリシュナが言いそうな台詞で表現)
ストーリー的に、負けはザメハ(ドラクエ呪文)
他のゲームならともかく、このゲームの、このタイミングでのゲームオーバーはまずいのだ。プレイヤーとストーリーのシンクロ率が上がっているから!
ストーリー上で旅する領域が、抽象化されて、いよいよゲームという夢から現実へ覚める直前なので、そこで死ぬのは興醒めのザメだ。悔しい。
結局、クリシュナに一度負けて、作りたくない世界線を作ってしまった。もう、消しようがない。
実は、階段の手前のフロア、鏡の向こうにラストダンジョンがあったのである。FF3の禁断の地エウレカを思い出す。
ラストダンジョンのあと?はい、クリシュナ、倒せました。あっさり風味、塩味でんがな。
ただ、クリシュナが持ち込んだ、どこぞの軍事力に全滅させられた屈辱は、夢から覚めた後も消えない。それが、この記事を書こうとしたきっかけとなった。シャエ、否、シェアしたかったんです。狂っとる。
戦車を破壊した後、「この国賊ーっ!」とか言っていたが、そこは可愛いかった。
散々、ネタバレしといて言うけど、このゲームの雰囲気はネタバレを挟んでも、まだ全然面白いと思うのでプレイしてみてください。
ああ、真のエンディングについて語りたくてしょうがない、私がエンディングについて語る前に!
とうとう、エンディング編書きました。ネタバレ全開で語ってしまいます。