「マスクなし対応」は是か非か ―顔を出す権利と、出さない権利
私は役所でも企業でも個人の名を出して仕事をさせるよう、うったえてきた。しかし、それはあくまでも個人の能力、業績、個性を認めてもらうためである。したがって裁量の余地があり、能力・個性を発揮できる仕事でなければ意味がない。役所の窓口業務にそれがあるか?
窓口業務にかぎらず、組織の決定にしたがい、唯々諾々と与えられた役割を遂行するだけの仕事では、逆に個人の顔や名前を出すのは危険だし、広く解釈するなら人権上むしろ問題だと言えるかもしれない。バーナードの言葉を借りれば、「組織人格」で仕事をするのに「個人人格」は必要ないのである。
責任の所在を明確にすることが目的なら、担当者は仮名で、マスクをして仕事をしてもよいはずだ。個人の名を出す権利と、出さない権利は表裏一体だと考えるべきだろう。
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