奈良県旅行記【仏像拝観のススメ】Part1

こんばんは。はじしらず ゆうすけです。

私、旅行特に寺社仏閣巡りが大好きな人間でして、特に仏像には目が無いんです。

「奈良」それは仏像拝観ヲタクにとっては何よりも甘美な響き。

2011年頃に一人旅をしたのがきっかけで深淵なる仏像ワールドに踏み込んだ私。家は今や仏像や寺社仏閣の書籍で一杯。。

現在福岡市で働いている身としては、コロナ騒動でこの仏像ワンダーランド奈良に訪れることもかなわず。せめて過去の楽しかった思い出をこの記事で振り返りながら、奈良県の、寺社仏閣巡りの、そして仏像拝観のすばらしさをお伝えできればと思います。

第一回~第三回は2011年8月8日~10日お盆休みを利用して訪れた奈良一人旅を振り返ってみたいと思います(初めての一人旅でしたので、写真等稚拙でお見苦しいかもしれません)。

何といっても約10年前なので記憶がおぼろげではありますが、奈良をめぐることで受けた衝撃は凄まじいものがありました。この年は私25歳と仕事もバリバリ若手でしたし、震災もあって心のよりどころをどこか探していたのかもしれません。

■2011年8月8日(月)

ルート:秋篠寺 → 西大寺 → 不退寺 → 薬師寺 → 唐招提寺 → 平城宮跡

今思うと初奈良初日にしては結構マニアックなルートを選んでいますね(笑)

①秋篠寺

アクセス:★★★★☆ (近鉄大和西大寺駅からバスでちょっと)

拝観難易度:★☆☆☆☆(いつでも拝観可能)

奈良時代から続く由緒ある秋篠寺。近鉄大和西大寺駅からバスでちょっと行ったところにある、静かで小規模なお寺さんです。

まず圧倒されるのが道中の苔庭。ふっかふかだぁ。。

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そして古代ロマン溢れまくりの秋篠寺本堂(国宝)。堪りません。

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本堂に入ると早速仏像ワールドが。

奈良時代~南北朝時代の仏像が数多くいらっしゃり、多くが重要文化財の指定を受けています。

最も高名なのが”東洋のミューズ”伎芸天像。この仏像、少し斜めに傾いたポーズが絶妙に美しく、お顔の優しそうなことといったら。。ため息が出る様な美仏です。体躯もかなり大きく、不思議な力強さも感じられ、迫力もあります。

仏像のお姿は以下のリンクから ↓

https://nara.jr-central.co.jp/campaign/akishinodera/special/

この方、頭は奈良時代に作られたものですが、体は鎌倉時代と後補なんですが、そこがこの仏像の優美な魅力と不思議な力強さを引き出した最大の要因と思うんです。

穏やかで素朴なお顔立ちはやはり奈良時代にしか表現しえない世界だし、体躯の写実性、これは鎌倉時代が日本史上最高の時代ですので、何物にも代えられない圧倒的な独自性、古代と中世のスーパーハイブリット仏に仕上がっています(元々どんなお姿だったのかも気になりますけどネ)。

他には梵天様と帝釈天様、この2体も頭は奈良時代、体は鎌倉時代というスタイル。梵天様は特に精悍なお顔立ちで素晴らしくカッコいいので必見です。

②西大寺

アクセス:★★★★★ (近鉄大和西大寺駅から徒歩でちょっと)

拝観難易度:★☆☆☆☆(いつでも拝観可能)

当時の自分は東大寺に対して西大寺ってあるんだ~レベルだったんですが、西大寺、避けては通れない名刹です。

日本史史上初めての面白人物と言っていい孝謙女帝、そして銅鏡。そう、このお寺を作り上げたのはこのお二人なのです!まさに二人の愛の結晶。。いや、失礼いたしました。

当然大昔は大寺院だったそうですが、今では街中にある小さなお寺と言った風情。境内には幼稚園もあり、ほのぼのした雰囲気が漂います。

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(本堂は19世紀の再建で重要文化財。)

本堂の中には清凉寺式の釈迦如来様が。京都嵯峨野にある三国伝来の美仏の模刻像となりますが、何だか清凉寺の方よりも優しいお顔つきな気が。鎌倉時代、慶派仏でありながら、おおらかな雰囲気があり、素晴らしい仏像です。水紋の様な流れゆく衣文の美しさは必見です。

また、文殊菩薩様(鎌倉時代)。これは獅子に騎乗し、刀を持つタイプですが、眷属含め5体が勢ぞろいしており、圧巻の迫力。安倍文殊院の方が有名ですが、ひけをとらない美仏だと思います。

仏像のお姿はこちらから ↓

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(手前は五重塔の礎石跡。兵どもが夢のあと。。感が漂います。)

他にも鎌倉時代の巨大な十一面観音様(重文)、西大寺中興の祖叡尊様の座像(国宝・鎌倉時代 眉毛が凄い!!)、秘仏の色鮮やかな愛染明王像(鎌倉時代・善円作)等等書ききれない程見どころたっくさんの名刹です。

春と秋に行くと愛染明王像と宝物館も拝観することが出来ます。最高!

③不退寺

アクセス:★★★★★ 近鉄新大宮駅から徒歩15分くらい

拝観難易度:★☆☆☆☆ いつでも拝観可能

初の奈良一人旅、恐ろしいことに真夏の旅行でした。京都とか奈良とか大阪ってまじで死ぬほど暑いんよな。。

新大宮駅から不退寺に向かう徒歩の道中、腕は真っ赤に日焼けする結果となり、10年経った今も腕時計の跡が手首に残っている有様(笑)

こちらのお寺は佐保路の三観音の一つと言われる聖観音様が有名なお寺。その起源は平城天皇(薬子の乱のお方ね)の隠棲先だったとか。在原業平が暮らしていたこともあるらしい。

境内はかなりコンパクトで落ち着いた雰囲気。ウシガエルがけたたましく鳴いていたのを思い出します。

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(南北朝時代の本堂(重要文化財)も立派です。)

聖観音様は美白な体色にリボンを身に着けた結構変わったお姿で印象的な仏像。すましたお顔は美しいというよりもどこか緊張を覚える感覚あり。横にふわりと広がり、体へと流れていくリボンが素敵だ。五大明王像もおり、しっかり仏像フォーメーションが組まれているのもナイス。

↓ 仏像のお姿は以下の動画20秒位~

ちなみに三観音の残り2寺、法華寺と海龍王寺にはこの時は行かず。何故ならいつでも拝観できるわけではないのだよ。その点、不退寺は非常に良心的?なのかもしれない(法華寺と海龍王寺についてはまた別の機会に)。

④薬師寺

アクセス:★★★★★ (近鉄西ノ京駅から徒歩でちょっと)

拝観難易度:★☆☆☆☆(いつでも拝観可能)

教科書とかで必ず出てくる建物とか仏像ってありますよね?奈良県ではそれがこれでもかっっ!!て程にみられるんです。

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(東塔。奈良時代から残る建築で無論国宝。頂上に乗る水煙を偉大なるアーネスト・フェノロサ様は「凍れる音楽」と称された。)

薬師寺は天武天皇発願の由緒正しき聖地です。広大な敷地に広がる伽藍は圧巻であり、中でも東塔は創建当初より立ち続けています。

巨大な金堂に入ると目に飛び込んでくるのが白鳳時代の薬師三尊。こちらのお寺の本尊ですが、同時代の銅像仏どれと比べてもその存在感、写実性、完成度は群を抜く。特に日光・月光菩薩の筋肉のなだらかな美しさよ。。本尊の乗る台座の超絶豪華絢爛さにも注目したい。

もう一つ見逃せないのが東院堂(鎌倉時代・国宝)におわす聖観世音菩薩像。本尊と同じく銅像仏ですが、日本の銅像仏の中でも最高に優美な姿を残す一体でしょう。本当に金属なのか?という位のなだらかさ、おだやかさ、たおらかさ。。美しい。。

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(多くの建物は昭和以降の建築ですが、圧倒的なスケールです!)

仏像のお姿はこちらから ↓

⑤唐招提寺

アクセス:★★★★★ (近鉄西ノ京駅から徒歩でちょっと)

拝観難易度:★☆☆☆☆(いつでも拝観可能)

その薬師寺と並んで存在する大寺院が唐招提寺です。日本史でおなじみ渡来僧である鑑真和上が創られた名刹中の名刹。日本の聖地です。

多数の国宝建築、仏像の名作を揃える唐招提寺、境内に崇高な雰囲気が流れていて、身も心もしゃんとする感じがある。

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(山門をくぐったらすぐに表れる奈良時代の金堂の整然とした崇高さは筆舌に尽くしがたい)

金堂から金網越しに仏像を拝観する形となります。まず目に入ってくるのは巨大な廬舎那仏像(奈良時代・国宝)。脱乾漆造りという奈良時代当時ならではの製法で造られており、光背には千体の仏が。圧倒的なスケールに言葉を失うこと請け合い。。

そんな廬舎那仏像の両脇を固める2体も超強力。

まずは千手観音像(奈良時代・国宝)こちらも超巨大。厳しい表情に鮮やかな金箔。何よりリアルに千本あるその腕の迫力。。この世に居てこの世ならざるものを観ることが出来るという体験。

薬師如来像(奈良時代・国宝)はシンプルないで立ちがまた違った迫力を醸し出す。掌に古銭が入っていたことでも有名な仏像です。

これらの仏像はいずれも乾漆造りですが、唐招提寺には数多くの奈良時代の木彫仏の傑作が集結しているのもポイント。金堂内にも四天王像がおられるし、講堂におられる細かい彫刻が見事な増長天も木彫仏の傑作だし、宝物館にも力強く重量感のある奈良時代の仏像が多数存在している(宝物館は春と秋限定での開館です)!

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(横に長い講堂もまた美しい奈良時代の現存建築。ここにも仏像がいっぱい!!)

ちなみに残念ながらかの有名な鑑真和上像にはお会いしたことがないのです。

仏像のお姿はこちらから ↓

う~む唐招提寺、やはり私のイチオシです(全然語り切れん)!!

⑥平城宮跡

最後は平城宮跡をぷらーっと歩いてみました。

なーんにもない誰もいない。そんな原っぱなんですが、朱雀門や太極殿が再建されている。

その中を近鉄の線路が通っていて何だかのどかで平和な空間でした。

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(かつてここが日本の中心だったとはにわかには信じられない光景)

初奈良体験記、続きます。

参考文献:

前川久夫「奈良大和路の古寺」『古寺巡礼12』JTBパブリッシング 2007年

小川光三「秋篠寺」飛鳥園 

小林剛「西大寺の文化」西大寺

株式会社飛鳥園「薬師寺」法相宗大本山薬師寺

倉田文作・小川光三「天平の甍 唐招提寺」㈱飛鳥園

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