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ミルクボーイがUIとUXの違いを説明したら

挨拶

内海「どうもお願いします。ありがとうございます。今、NFTアートをいただきましたけどもね。ありがとうございます。こんなんなんぼあってもいいですからね」

駒場「いきなりなんですけどね、うちのおかんがね、好きなIT用語があるらしいんやけど」

内海「そうなんや」

駒場「その名前を忘れたらしいねん」

内海「IT用語の名前忘れてまうってどうなってんねん。あれやろ、IT用語ゆうたらどうせ、デザイン思考か、アジャイル開発か、リーンスタートアップやろ!」

駒場「俺もそう思ったんやけどちゃうらしくてな、いろいろ聞くんやけど、全然わからへんねん」

内海「そうなん?」

駒場「うん」

内海「ほんだら俺がね、おかんの好きなIT用語、一緒に考えてあげるから、どんな特徴言うてたかとか教えてみてよ」

定義

駒場「おかんが言うには、製品やサービスとの関わりを通じて利用者が得る体験及びその印象の総体やって言うてた」

内海「ほぅ。……UXやないかい?その特徴はもう完全にUser eXperienceやがな。すぐわかったよこんなもん」

駒場「俺もUXやと思てんけどな」

内海「そうやろ?」

駒場「おかんが言うには、この図でいうところの右のケチャップっていうねんな」

ケチャップ

(出典:A comprehensive (and honest) list of UX clichés

内海「あー。ほなUXと違うかぁ。UXはね、『使いやすい』 ことを示す言葉ではなく、あくまで利用者の体験のことやねん。ケチャップを使って何かを食べるときや、料理中にケチャップをふりかける体験のこと自体をさす言葉やねん。この図でいったらケチャップはどっちもUIやね。UXちゃうがなそれ。もうちょっと詳しく教えてくれる?」

いいUX

駒場「おかんが言うには、右のケチャップに変えたことで使うことが楽しくなって毎日オムライスばっかり作っちゃうけど、この気持ちのことやっていうねんな」

内海「いいUXやないかい!ケチャップを使うときの体験(一時的UX)だけでなく、あのケチャップを使って料理したいと思うタイミング(予期的UX)や、使ったあとの食事体験(エピソード的UX)も含めて『このケチャップのUX』って言えんねん。UX白書にもそう書いてあんねん」

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駒場「えらい説明的やね」

内海「せやから、おかんのその体験はいいUXであると言えるし、右のケチャップは、いいUXを生み出したいいUIとも言えるね。ただし、左のケチャップより右のケチャップのほうがいいUIだという風潮は違うと俺は睨んでんねん。たしかにふりかけやすいとか、残りにくいという点においては右のケチャップの方が便利やけどね、左のケチャップの方がかっこよくて毎日使うのが楽しみやっていう人だっているはずなんよ!どちらもいいUIであり、どちらもいいUXを生み出す余地があんねん。UXやそれは!」

駒場「俺もそうやと思ったんやけどな」

内海「そうやろ?」

駒場「おかんが言うには、ショートカットした小道のことやって言うてた」

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(出典:UI vs UX: What is the Difference?

内海「ほな、UXちゃうやないかい。これもケチャップと同じくらいUXの説明のときにみかける画像やけど、誤解を与えるから気をつけてや。あくまでもUXというのはそのUIやコンテンツを通じて得た総合的な体験を指すときに使われる言葉であって、『顧客(人間)が本当に求めていたもの』という意味合いでは本来使わないものやからね。整備された道はたしかに人が歩くために街が用意した『UI』とも比喩できるけど、それでいったら自然と使われるようになったショートカットの小道も自然発生した『UI』やし、どっちを歩くことになってもそれは歩行者のUXに変わりないねんて」

駒場「言われてみればそやな」

内海「せやろ? そもそも機械のインターフェース以外にはあんまりUIって言わないからね。道は道!ケチャップはケチャップ!こんなんUXとは言えんよ。もうちょっとなんか言ってなかった?」

UI/UX

駒場「なんでも、それについて話すと色んな人がつっこんでくるから面倒臭いらしい」

内海「UXやないかい!UXの定義に関してツイートしてる人全員面倒臭いと思ってしまうのよたいてい1年に1回は同じような議論をして同じような人たちが騒いでるからね。でも俺はね、間違えた認識をちゃんと専門家が指摘すること自体は、業界のためにも社会のためにもいいと思ってるのよ。ただそれを攻撃的だったり嘲笑するような書き方で指摘するのは、この業界の人たちの悪いところであり、」

駒場「お前も5年前にそういう記事書いてたけどな」

内海「あれは若気の至りというか、若気のイキリってことで許してほしいねん。ともかく、誰か傷つけて論争を起こすことこそ、UXの正しい理解が日本に広まらない理由のひとつやと俺は思ってんねん。俺はなんでもお見通しやねんから!UXやそんなもんは!」

駒場「分からへんねん、でも」

内海「何が分からへんの」

駒場「俺もUXやと思てんけどな、おかんが言うには、UIと併記しても全然だいじょうぶっていうてた」

内海「ほな、UXちゃうやないかい!世の中では『UI/UXデザイン』って言葉がはびこってるのに、『UI/UX』って併記すると謎に怒ってくる人たちがおんねん。UI/UXを『分子/分母』だと捉えてそうじゃないと憤る人もいれば、『UIとUXは別物なので併記すること自体違和感がある』という派閥もいて、デザイナーとして社会人に出た新卒たちはみんなパニックになんねんな」

駒場「俺も昔知らん人からよく怒られてたわ」

内海「デザイン会社の株式会社コンセント代表の長谷川さんの昔の記事に、なんで併記したらあかんかの分かりやすい説明があんねん」

いずれにせよ、UIはUXを構成する一要素であることが見えてきた。
では、なぜUIとUXを併記してはならないのか。

それは、UI/UXと書いてしまうことによって、UXという課題提起がUIの延長線上にあるように認識してしまうからである。

引用:UXの本質について

駒場「なるほどな」

内海「せやけどね、たとえばTwitterにしろLINEにしろTinderにしろ、モバイルアプリのサービスではUIの選択によってUXが顕著に変更されやすいものやろ? せやから文脈によっては併記されること自体はそんなに違和感がないと思うねん。そりゃ『このUI/UXよくしてよw』って言われたら俺かて違和感あるけどね、『UI/UXデザイナー』と名乗ってる人の肩書をわざわざ外から指摘するのは大人のやることではないねんな。ともかくUIと併記するときには十分注意するべきやねんから、全然大丈夫ならUXちゃうがな!じゃあもうちょっとなんか言ってなかった?」

有識者

駒場「おかんが言うには、千葉工業大学と芝浦工業大学にいけば思い出すらしいねん」

内海「UXやがな!そのふたつは日本でも有数のUX研究室がある大学やないかい。特に千葉工業大学の安藤昌也教授は日本のUXデザインの顔とも言えるし、著書である UXデザインの教科書 は初学者は必読やね。もちろん他にもUXを研究している大学はあるんやけど、この2つの大学はむしろUX以外何してんの?って感覚やね

駒場「それってあなたの感想ですよね?」

内海「ともかく、絶対それはUXや!おかんが好きなのはUX!」

駒場「わかれんへんねん。」

内海「なんでわかれへんのそれで。」

駒場「俺もUXや思てんけどな、いいUIだったら絶対によくなることやって言うてた」

内海「UXちゃうやないか! いいUIはいいUXを生む可能性があるけど、だからといって必ずしもいいUXを生み出すとは限らへんねん。たとえばレストランにめちゃくちゃ使い勝手がいい注文タブレットがおいてあったとしても、出てくる料理がまずかったり、客層が悪くてうるさすぎたりすると、結果的にその人にとっては悪いUXとなっちゃうのよ。UXデザイナーといえば真っ先に誰もが顔が浮かぶ THE GUILDの深津貴之さんだってこういってんねん」

駒場「さすが分かりやすいな」

内海「せやろ。ちょっと面白い話するために言葉遊びすると、逆にUIの改悪がUXの改善になるケースだってあんねんで」

駒場「どういうこと?」

内海「アメリカのヒューストン空港の話や。ヒューストン空港の荷物受け取り所で待ち時間が長すぎるって乗客からのクレームに対して、経営コンサルティングファームはスタッフを増員することで20%近く待ち時間を減らすことに成功したんや。でもなんと、乗客からのクレームは一切減らんかった。そこで次にデザインファームに問題解決を依頼したところ、待ってる時間が実際長いことが問題ではなくて、待っていると "感じる" 時間が長いことが問題やと睨んで、飛行機を降りてから荷物受け取り所までの道をあえてめちゃめちゃ遠回りさせることにしたんや。そうすると人は実際の待ってる時間は同じはずなのに、手荷物受け取りのために待ってると感じる時間は短くなったから、クレームはゼロになったらしいで。UIとしては道をめちゃめちゃ遠回りさせてるから改悪といえるけど、UXは良くなったと言えるやろ? こういうことだってあるから、いいUIだったら絶対にUXがよくなるなんてことは断じてないねん。ほなUX違うかぁ。もうちょっとなんか言ってなかった?」

結論

駒場「おかんが言うには、その専門家はこれから来るマルチインターフェースの時代にどんどん重宝されるようになるらしい」

内海「UXやないか!PCにスマホにタブレット、ウェアラブルデバイスやIoTや自動運転やARやVR、いろんなUIが生活を包む時代がもうすでに来てんねん。そんな中で複数のUIや利用者の生活を統合的に設計してゴールまで導く『UXデザイナー』『UXリサーチャー』はこれからの時代どんどん重宝されるようになるで。間違いない、これはもうUXにきまり!」

駒場「わからへんのよ」

内海「わからへんことない!おかんの好きなIT用語はUX!」

駒場「おかんがいうには、UXではないっていうてた」

内海「ほなUXちゃうやないか!おかんがUXではないと言えばUXちゃうがな!」

駒場「そうやねん」

内海「先言えよ!俺がヒューストン空港の例長ったらしく言うてるときどう思てたん?

駒場「申し訳ないなと思って」

内海「ほんまにわかれへんがな、それどうなってんねん。」

駒場「おとんがいうには、メタバースちゃうかって。」

内海「いや、絶対ちゃうやろ!もうええわ。どうもありがとうございました。」


追記

デザイン思考バージョンもあります


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