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TOEIC300点から同時通訳者になった中村光秀さんの壮絶英語修行人生  62歳からのロシア語⑥


「底辺から高いところ目指す」という物語

 タイトルにひかれて私は本に興味を持ってしまう。

 前回の記事で紹介した黒田龍之介さんの『ロシア語だけの青春 ミールに通った日々』(現代書館)もそうだった。

 そしてこの本を借りて図書館から家に戻る途中で立ち寄った本屋で見つけたのが『TOEIC300点から同時通訳者になった僕の英語学習法』(中村光秀著、IBCパブリッシング)

  以前に書店で見かけたことがあり買おうかと思ったが、金がなかったのであきらめていた。本のタイトルも忘れていたが再び同じ書店で見つけたのである。

 そのタイトルやサブタイトル、帯の文言を読むと、売ってやるぞ!という出版社の意気込みが伝わり、コピーライティングの王道をいっているように感じた。
 
 物やサービスを売るコピーとして有効なのは、「どん底から這い上がった物語」。なんだかんだと言っても、人間は下から上って栄光を勝ち取る物語が好きである。

 もっと理想的な物語は、頑張ってそこそこの高みに達したが、あることがきっかけで再び転落してしまう。しかも今回転落した場所は、最初のスタートよりさらに低くひどいところだった・・・。

 ここから、再び立ち上がって数千段の階段を上っていく。そんなイメージを持ってしまう本なのだ。そしてこれは、何らかのサービスや物を売るためのセールスライティングの重要なテクニックではないか。

 実際に読んでみると、前半が著者の半生が中心で、後半で英語学習法に触れる構成になっている。

 とにかくすさまじい。意欲と根性と勉強量が。

超ストイックな英語通訳者の前半生と訓練法

 なにしろ、勉強量が大量だ。アルバイトをして英語を勉強しているときの一日。

7時~9時 睡眠
9時~11時半 勉強
11時半~11時45分(壁に寄りかかって仮眠・ベッドに入ったら起きられないため)
11時45分~16時 勉強
16時~17時 仮眠
17時~20時半 勉強
 ⇒電車で移動(アルバイト先へ)
22時~5時 アルバイト(ラブホテルのシーツ替え)
5時~5時50分 ラブホテル近くの公園で目を覚ますための音読
⇒電車移動(自宅へ)

※同書 36ページより

 ただひたすら通訳になるための修行・苦行だ。こんなことを実際にやったら私は死ぬか病気になる。おまけに、ロシア語をやればやるほど仕事量が減って収入が減ってしまうため、私はここまではやらない、できない。

 が、仕事や家事の隙間にロシア語練習を挿入していくイメージは上記の日程表からヒントを得た。

 私の「挿入ロシア語訓練」は30分単位だ。たとえば、単語覚えるのだったら仕事の合間に30分挿入、文法を身に付ける教科書勉強30分、音声素材の発音練習30分、という具合だ。今のところ、これ以上は無理。

 著者の中村さんに比べれば、量は圧倒的に少ない。

音声(動画)練習の方法も学ぶ

 この本の後半は、具体的な学習法が示されているが、ひとつ私が参考にしているのは音声(私はYouTube番組を利用している)のトレーニング方法だ。

 「英語学習初期の方向け」(P79)をマネしようとして、自分のやり方を加筆した紙を壁に貼ってある。それが下の写真だ。

中村光秀さんの著書にヒントを得て自分に合う方法をメモした

●気に入ったYouTubeの動画を選択する
1)動画音声を静聴する(これ以上無理だというまで聴く)
2)「文字起こし」、もしくは「ロシア語自動生成」を表示させて確認
3)聞き取れなかった箇所の分析(単語、言葉のつながり、前置詞、格変化など)
4)文字を見ながら音声を聴き、音声と文字を照合一致させる。
5)文字を見ながら、大きめの声で、ゆっくり、できるだけ正確に音読。
6)文字を見ながら音声に合わせて声をだす。
7)文字を見ないで、音声に合わせて声を出して話す。
8)音声を1文~3文くらい流して止める。いま聞いた音声をそっくりまねて発音する。

 以上が、同書79ページを参考に、実際に実行してみて一部を自分用に修正したものだ。

 それにしても先は長い。さすがに中村さんほどの分量をロシア語練習には充てられないから、とりあえず、彼がやったであろう分量の10%達成をイメージすることにした。(つづく)

 追伸 やはり10%はかなりきついので、彼の修行量の5%をまずは目指そうと思う。できない計画や目標を立てて挫折するよりましだ。(つづく)



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Hayashi Masaaki 林克明ジャーナリスト
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