この本を読んでしまい、昨日は言語学習できなかった。
改訂版「標準ロシア語」会話の音読と暗唱練習をしようと思い、本棚にあるこの教科書を手にしようとしたとき、その左40センチメートルにある文庫本に目が留まってしまった。
だいぶ疲れており、心の奥底で「今からロシア語の練習なんてめんどうだ」と無意識のうちに思っていたに違いない。
その文庫本とは「三面記事から見る戦前のエロ事件」(橋本玉泉著、彩図社)である。
著者の橋本玉泉さんとは20年来の知り合いではあるものの、なんで昨日に限ってこの本が私の視界にはいってきたのだろう。不思議だ。玉泉さんとは、もう何年も会ってもいないのに。
ちなみに彼の別の著書「ビンボーになったらこうなった!」(彩図社)の中に、私は実名で登場している。
トンデモ事件の連続、昔からヘンな人はいたし今後もそうだろう
なんとはなしにページをめくってみると「看護婦の大半が『売春OK』の病院」などという見出しが目についた。
明治41(1908)年4月に華厳の滝で若い女性の遺体が発見されたことから、このトンデモ病院の実態が明らかになったのである。
報じたのは東京朝日新聞。この病院の60~70人いた看護婦のかなりが売春をしていたという。
次に目に留まったのが、「母娘そろって男狂い」が原因の殺人事件。これも東京朝日新聞の記事をもとに書かれたものだ。
54歳の市川という男がが45歳の女「こと」と再婚した。しかし「こと」には31歳の早川という愛人がおり・・・(途中は略)この早川を自宅の2階に下宿させる。
「こと」の娘「さと」17歳も早川と男女関係になる。ということは、自宅の2階に住む若い男のもとに妻と娘が入り浸る状況だ。それに堪忍袋の緒が切れたのか、夫の市川が2階の部屋に突入して白川を殺害し、義理の娘「さと」に重傷を負わせてしまったのである。
こんな調子で、新聞の三面記事から拾った36件のエロ事件のエピソードが収録されている。
高井ホアン 「戦前反戦発言大全」と「戦前不敬発言大全」
橋本玉泉さんの本を読んでいて思い出したのは、高井ホアンさんの「戦前反戦発言大全」「戦前不敬発言大全」(ともに合同会社パブリブ刊)。
「~エロ事件」は、新聞記事をもとに展開しているのだが、高井本2冊は「特攻月報」(特別高等警察の記録)から事件を選び出して編集しているものだ。
ちなみに高井ホアンさんとも知り合いで、かれとは3か月近く前にインド料理屋で食事した。
この二人の著書を頭のなかで比較しながら、ついつい「~エロ事件」を読み進めてしまい、結局、何十日も連続して実行してきたロシア語学習ができなかった。
せっかく習慣化した学習が、一日とはいえ中断してしまったのは悔しいものの、なんとなく楽しい気分にもなっていた。
昔も今も、人間はたいして変わっていないのだなあ。