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15年以上使っている夫からのプレゼント
いきなり物騒な画像ですみません。
ふと、コレのことを書こうと思い立ちまして。
夫と付き合い始めたのは、今から16年前の2月でした。
どこかに出かけることもありましたが、ほとんどは「おうちデート」でした。
というか、最初から半同棲のような状態でした。
私も夫も、割と無精なところがありまして…
ちまちまとメールのやり取りをするくらいなら、部屋に行った方が早い。
そんなわけで、平日の夜でも「今日来る?」「ほな行くわ」という流れで、夫の住むワンルームの部屋に行き…
そのまま泊まって、朝実家に帰る、ということが続いていました。
そのうち、夫の部屋で食事を作ることが増えていきました。
最初は軽いおつまみ程度だったのですが、やがて夕食は夫の部屋で、2人で食べることが多くなったのです。
ワンルームマンションの台所は、とても狭かったのを覚えています。
なんせ、コンロは1口しかありませんでしたから。
そんな台所でしたが、長らく憧れていた夫のために食事を作り、一緒に食べるという時間は、私にとってかけがえのない時間でした。
台所は狭かったのですが、元調理師だった夫は、包丁だけは良いものを持っていました。
調理師学校に入学した際、包丁一式をそろえたそうです。
が。
そのうちのほとんどを、元嫁と住んでいた団地に置いてきてしまい…
手元に残っていたのは、牛刀と中華包丁、そして小さなペティナイフでした。
牛刀も中華包丁も大きく、私には扱うことができませんでした。
実家で時々料理をする時には、文化包丁を使っていましたが…
夫の部屋で私が使うことができたのは、刃渡り15センチほどのペティナイフくらいでした。
ペティナイフといっても、一応プロ仕様でしたので、切れ味は抜群でした。
ただひとつ、問題が。
素材が「鋼」だったのです。
鋼の包丁は、切れ味が良い反面、マメに手入れをしないとすぐに錆びてしまうのです。
ゆえに、私はしょっちゅうペティナイフを研いでいました。
そして翌年、2月。
付き合って1年が経過した記念に、夫と二人でランチに行きました。
その時。
食事をしたお店のすぐ近くに、刃物屋さんがあったのです。
「ちょっと行ってみようか」
なかなかレトロな店構えでしたが、夫は刃物店のガラス戸を開けました。
店番をしていたのは、小柄なおじいさんでした。
夫は、あれこれとおじいさんに話しかけ、また質問をしていました。
さすが、腐っても元調理師。
道具にはこだわるんだなぁ、と思いました。
夫がおじいさんと話しこんでいる間、私は爪切りを物色していました。
そして数分後。
おじいさんは「ほな、これがよろしいやろ」と、1本の包丁を夫に手渡しました。
え、包丁買うん!?
家にあるのに??
疑問に思いましたが、夫はさっさとその包丁を買いました。
お値段、1万3千円。
「いつも料理してくれるのはありがたいけど、あの包丁は使いづらいやろ。ステンレスの包丁買ったから、今度からこれ使って」
と、夫は包丁が入った箱を差し出しました。
それが、コレです↓
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刃渡り15センチのペティナイフ。
もう少し大きな包丁もあったのですが、もともと私が夫の部屋で使っていた鋼の包丁と同じサイズです。
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銘は「正広」です。
初代の夫と同じ名前なのが、少々気になりますが(笑)
調べてみたら、業務用なんだそうです。
さすが夫。
以来15年半…
私はこの包丁だけを使っています。
私にとっては使い慣れたサイズ、そして最高の切れ味。
刃渡り15センチのペティナイフですが、これ以外の包丁を使える気がしません。
地元地域の祭礼の「炊き出し」に行った時も、公民館の包丁が使えず、この包丁を持参したくらい(笑)
炊き出しの時、公民館の包丁の切れ味があまりに悪かったので、隣で野菜を切っていた奥さんに「この包丁使ってみて」と貸したらば…
「なにこれ切れすぎてコワイ」と言われてしまいました。
錆に強いステンレスですが、それでも時々は研ぐ必要があります。
ですが、私は研いだことはほとんどありません。
気が付いたら、夫が研いでくれているからです。
夫は彫刻刀を研ぐ時、ついでに包丁も研いでくれます。
ありがたい。
包丁は長く使うと「だんだん短くなる」と言われますが…
さっき測ったところ、1センチほど短くなっていました。
まぁもっと短くなっても、この包丁を使い続けるんですけどね。
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