トパーズの陽を撮りかける やめておく 死刑執行人の土曜日
サリンジャーの小説を読むとどうしても兄のことを思い出す。『キャッチャー・イン・ザ・ライ』にはまっていた兄は一時期わたしのことを"フィービー"と呼んでいた。
(フィービーというのはこの小説の主人公・ホールデンの妹だ。この作中の兄妹のやりとりはたしかに、わたしたち兄妹とすこし近いところがある。)
兄がホールデンに感情移入していたのは明らかで、でもおそらくホールデンになりたかったわけではなく、まさに"ライ麦畑のキャッチャー"そのものになりたかったのだろうと思う。そのように、わたしは兄を見ていた。
もうすぐ兄の誕生日がやって来る。その10日後にわたしも誕生日を迎えて、その日とうとう兄と同い年になってしまう。