自主独立性
自主独立性は、個人特性の一つである。主体性や自立性を表すディメンションだ。
自分の考えを持っている、持論がある、というような意味で、今までの経験や学習知などから「こうあるべきだ」という考えを明確に持つことが求められる。マネジメントに自主独立性は必須だと考えているアセッサーは多い。
一方で、こういった確固たる考え方も度を過ぎれば単に押しつけがましい人ということになる。「おれが若いころは」という言葉に代表されるように、自分の意見を押し付ける人は敬遠されるし、平たく言うと嫌われやすいので気をつけたい。頑なであれ、という意味ではないことに注意してほしい。
例えば、部下が悩んでいたとする。こんな組織で働いていて、いったいこの先どうなるのか?というような疑問を持っていた場合、あなたならどう回答するだろうか。同僚が、毎日同じことの繰り返しで、仕事にやりがいが持てない、と意気消沈していた場合、あなたならどんな声をかけるだろうか。
マネジメントであれば、確固たる組織観や仕事観を持っていて、部下や同僚の悩みにも応えることができるだろう。一見不毛にみえる日々の仕事も、きっと何かにつながっていると励まして勇気づけてあげれば、部下や同僚はまた明日から仕事を頑張れるかもしれない。
自主独立性が弱い人は、明確に自分の考えを示さない人である。人の言ったことに流されてしまったり、他者に依存してしまったりする行動は自主独立性のマイナス行動だ。しっかりとした自分の判断軸が定まっていない人は、啓発点として指摘されるだろう。自信の無さは言動に現れるので気をつけたい。
演習における具体的な行動
それでは演習における具体的な行動を考えてみよう。
グループ討議
グループ討議や面接では、やはりきっぱりと言い切るということが大切だ。私は、こう思う、ときっぱりと言えれば自主独立性はプラス傾向である。自分が主語で語れない人、自身なげに語尾が弱くなる人は、自主独立性はマイナス傾向だと捉えられるだろう。
例えば、グループ討議では、周囲の意見を聞くことはもちろん大切である。しかし、ちゃんと自分の意見も持った上で、意見を戦わせてより良い結果を導くために異なる意見を求めているのか、それともただ単にわからないから聞いているのか、で自主独立性はプラスにもマイナスにもなる。
面接
面接では、ちゃんとした考えを持っているのかを確認するために、質問をすることも多い。あなたはどう考えているんですか、というような質問だ。与件を10分間読み込んだだけでちゃんと答えを用意できるか、と考えるとかなり難しい質問だと思う。
しかし、この場でその場しのぎの回答を求めているというよりは、普段から問題意識を持って仕事をしているか、というような姿勢が問われているのだと理解してほしい。マネジメントとしては、今までの経験から培われた持論で相手を感化してほしいところである。
インバスケット
インバスケットでも、自分の意思を示す、きっぱりと言い切る、といった行動がプラスである。一方、すぐに上司に判断を委ねる、他部署に丸投げしてしまう、何でもかんでも合議で決めようとする、というような行動は明らかにマイナスである。もちろん合議が悪いということではない。
自分の意思を示せていないアウトプットを見ていると、言い方は悪いがマネジメントではなく担当者レベルだなと思ってしまう。今現在担当者の人は、いきなりインバスケットで上司役を演じろと言われても難しいかもしれない。
しかし、普段部下として、どういった上司が望ましいのか、という理想の上司像のようなものを持っていれば、どういう行動をすべきかがおのずと見えてくるのではないだろうか。いつも問題意識を持って仕事に当たっているかどうかで、その人の持論形成は大きく変わってくるだろう。
注意点
自主独立性がプラスの人はどんなことに気をつければよいだろうか。
想いが強すぎると、それを押し通しそうになるので、そこは注意してほしい。例えば、面接で、自分の意見を言うのはもちろんいいことである。ちゃんと意見を言わないのは説得力やコントロールのマイナスだ。
しかし、相手の言い分を聞かずに、こうあるべきだ、とポジティブな持論を主張し続けるというのは、柔軟性や創造力のマイナス行動である。
フラットな態度で押し付けることをせず、しかし自分の意見はしっかり持っている、というのがスマートなマネジメントだと思う。
能力開発に向けて
最後にどうやって自主独立性を高めていくかを考えてみよう。
やはり、普段から問題意識を持って仕事に取り組み、自分なりの持論形成をしていく、ということになるのだと思う。常に、自分だったらどうするか、どう考えるか、と自問して振り替えることが持論形成に役立つだろう。
どうすれば働くメンバー全員がハッピーになれるかを突き詰めて考えてほしい。それが自分なりの組織観や人間観につながっていくのだということを理解してほしい。もちろん多くのメンバーは、そういう人にマネジメントになってもらいたいと願っているはずだ。
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