情報把握力
意思決定能力の一つである。その名の通り、情報を把握する能力だが、具体的には、情報キャッチのスピードや情報処理の量的な生産性の高さ、正確さ、などを表すディメンションである。思考の回転の速さ、と捉えても良いだろう。
問題解決と思考系のディメンションの関係性
パソコンを購入するときに、CPUとメモリの関係を、人間の脳の処理能力と作業デスクの大きさ、というように例えたりするが、情報把握力はそのどちらかだけでは強みになることはなくて、そのどちらもが求められるというイメージを持ってほしい。
情報把握力のディメンションは、非常に幅の広いイメージを持つ。それは、情報把握力が問題解決行動のスタート地点でもあり、インフラでもあるからである。
大まかではあるが、私たちが問題解決を進めていくプロセスは次のようになる。
情報を理解して要点やポイントを掴む
情報を構造化して背景や因果関係、本質などを明らかにする
前例踏襲ではない新しくてユニークな施策を打ち出す
可能性のあるものはすべて俎上に載せ、最適で妥当な解を選択する
先行きが見えない状況であってもきっぱりとすべきことの決定を下す
これらはディメンションやコンピテンシーなどの設計にもよるが、上から順に、情報把握力、分析力、創造力、判断力、決断力という項目になる。
当然、情報をしっかりと把握できていなければ、後工程でいくら頑張っても成果は上がらない。初めにつまずけば、その後の問題解決ははかどるはずがない。
演習における具体的な行動
それでは演習における具体的な行動を考えてみよう。
グループ討議・面接
グループ討議でも面接でも、他者とのやり取りがスムーズであれば、情報把握力は悪くないと判断されるだろう。相手の言ったことをちゃんと理解して、それに対して返答できれば問題ない。
一方、グループ討議で、議論の流れについていけず無言のままその場を通過してしまう、となると少し怪しい。面接で、葛藤状況に気づけないのも、かなり怪しい。どの演習でもはじめに課題が与えられるが、状況が正確に理解できているか、がポイントとなる。
当たり前だが、私たちはゴールや目的の重要性をとにかく説かれる。もちろん目的意識を持つことや自分なりのゴールセットをすることはとても重要だ。しかし、今いる場所がわからなければ、ゴールセットなどまったく意味がない。
現在地が分からないのにゴールを描いたところで、そこに至る道筋を設計することができないからだ。そもそもそのゴールセットの妥当性も怪しいだろう。問題解決のプロセスでも示した通り、出発点は情報把握力であることを理解してほしい。
インバスケット
インバスケットでは、情報処理のスピードや確度、関連の気づき、認識に誤りがないか、というようなことが大切だ。例えば、20案件あるのに5案件しか処理していないとなると物足りない。しかし、その処理した案件の質が高ければ、量的な生産性よりも質を重視したのだろうと理解できる。
注意点
情報把握力がプラスの人はどんなことに気をつければよいだろうか。
思考面が強い人にありがちなのは、理に傾き、共感などの情が手薄になることである。PM理論などが明らかにしている通り、問題解決はもちろん大切ではあるものの、場づくりも大切であると今一度認識してほしい。
能力開発に向けて
最後にどうやって情報把握力を高めていくかを考えてみよう。
まずは、スピードの強化が挙げられる。今まで文章を漫然と読んでいたなら、時間を気にしてみるのも良いトレーニングになる。自分が興味のある記事や書籍、論文などを読んで、スピーディーに要点を掴めるか試してほしい。
読み込んだら、それを論理的に把握することができるか。例えば、5W+1Hなどのフレームワークを使うなどして内容を構造的に捉えることを意識してほしい。それを中学生にもわかるくらい平易な言葉を使って説明することができるか。こういった点を意識しながら能力開発をおこなってほしい。
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