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影響力

影響力は、対人関係能力の一つである。個人として、人や集団にある種の影響を与えることができるかを表すディメンションだ。

ある種の、というのは説明が難しいのだが、ざっくりとポジティブな影響だと捉えて良いだろう。もちろん悪影響を与えるような人は、影響力が強みにはならない。

もっとわかりやすく言うと、リーダーシップのようなものをイメージしてもらうと良い。周囲に自分の考えやビジョンを示し、働きかけて、目指す方向に牽引していく行動のことだ。補助的・支援的な行動よりも、自立的・主体的な行動が当てはまるし、発散行動よりも収束行動が当てはまるだろう。

影響力マイナスの行動としては、やはり影響を与えられないということに尽きる。ほとんどしゃべらない、言いっ放しで終わる、無表情、覇気がない、躍動感がない、交流感がない、面白みがない、といったように、メッセージの受け手に、影響も、感化も、感銘も与えることができない行動である。

影響力は、マイナスがつきやすく、プラスになりにくいディメンションである。理由の一つとして、そういったリーダーシップのある人はさっさと会社を辞めて独立してしまうから、というようなことを言う人がいる。確かにそういったことはありそうではある。

他に思いつく理由としては、影響力が強い行動の背景には、我欲というか他者よりも自分、というような心理があるように思う。そういう考えは、周囲の人に煙たがられたり、スポイルされたりして、往々にして周囲の人に良い印象を与えないことが多い。

そして多くの人は、成長するにしたがいそういった行動をとることのデメリットというか、嫌な経験をたくさんして、結果としてでしゃばらないような振る舞いを覚えていくのではないだろうか。出る杭は打たれるというか、目立つ人を叩くという行動は実際によく目にすると感じる。

何事かを成し遂げたい、というような強い意志を持つ人のことを、この人はwillがある、という表現をする。いい面ばかりではないかもしれないが、willがない人ばかりだと、組織も活性化しないし、仕事を刷新していくようなこともできないのではないか。私たちはもっとwillを持っていいのだと思う。

演習における具体的な行動

それでは演習における具体的な行動を考えてみよう。

グループ討議

基本的にはグループ討議で、その行動の発揮度合いを見る。発言するだけでなく、他者の意見を求めたり、発散するだけでなく収束に向けて関与を強めたりする行動は影響力のプラスである。

皆の意見を集めて、というような調整的な行動では影響力とはみずに、柔軟性や判断力のプラス行動とみることの方が多いだろう。その振る舞いはリーダーシップ行動なのか、それともフォロワーシップ行動なのか、自分でも振り返ればきっとわかるはずだ。

面接

影響力を、対集団影響力と、対個人影響力に分けることがある。その場合は、面接でもその発揮度合いを見る。説明調や事務手続き的な対応は、影響力がマイナスだととらえる。相手の心に訴えかけ、相手を感化するような行動が影響力のプラスなのだ。

インバスケット

インバスケットでは、あまり影響力をみることはしないが、しかし文面であってもメンバーに働きかけて巻き込むことができるかもしれない。やはりここでも相手の感情に訴えかけて動かしていくことができるかがポイントになるだろう。

注意点

影響力がプラスの人はどんなことに気をつければよいだろうか。
先にも書いたが、あまりに押し出しが強いと、周囲の人に敬遠される可能性があるので気をつけてほしい。他者よりも自分を優先させすぎている行動だと、影響力のプラスというよりは感受性のマイナスだととられる可能性もある。

能力開発に向けて

最後にどうやって影響力を高めていくかを考えてみよう。
まず、他者に訴えかけて、影響を与えたいと思う何かがある、ということが前提になる。何か、というのは自分の意見やビジョンのようなものをイメージしてほしい。そもそも訴えかけたいものがなければ、他者に影響を与えることができない。

そのうえで、相手に伝えようとする強い気持ちを持ちたい。どうせ伝わりっこない、という態度はマイナスだし、一度言ったから伝わってるだろう、というような考えも影響力のプラスにはつながらない。粘り強く働きかけて、メンバーの気持ちを一つにしていく行動が求められるのだ。

また精神論だけでなく、どうすれば相手に伝わるか、心に響く言葉は何か、どう攻めるのがよいか、といった点を考えることも大切だ。人それぞれ納得や共感のポイントは異なるだろう。例えば、論理を重んじる人と、情熱を重んじる人、相手のニーズによって攻め方を変えた方が影響を与えやすいだろう。

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