ブックガイド(166)「まほり(上・下)」高田大介
大学院の社会学研究科を目指して研究を続けている大学四年生の勝山裕。卒研グループの飲み会で、語られた都市伝説に興味をひかれる。上州の村では、二重丸が書かれた紙がいたるところに貼られているというのだ。この蛇の目紋は何を意味するのか? ちょうどその村と出身地が近かった裕は、夏休みの帰郷のついでに調査を始めた。地元の図書館で司書のバイトをしていた昔なじみの飯山香織と出会い、ともにフィールドワークを始める。調査の過程で出会った少年・淳から不穏な噂を聞く。その村では少女が監禁されているというのだ! 古文書から追跡する裕と香織、現地で探索する淳。
二人の探索はやがて衝撃のクライマックスに至る! という傑作。
特に少年・淳の少女を救おうという気持ちに、読者は裕と共に寄り添ってしまう。これが快感。
裕パートでの古文書探索シークエンスが、ちょうどよい「焦らし」になっていて、後段までぐいぐいと引っ張られる。
(追記)
稗田礼次郎(諸星大二郎「妖怪ハンター」)、宗像教授シリーズ(星野之宣)、蓮杖那智シリーズ(北森鴻)などに胸ときめかした人なら、読んで間違いなし。