映画レビュー(203)「リターナー」
依頼者からの情報をもとに闇取引の現場に潜入しブラック・マネーを奪還、一切手をつけることなく依頼者にその金を戻す“リターナー”ミヤモト。
孤児だった頃に親友を殺された過去を持つ彼は、復讐を誓い“リターナー”を続けながらその男・溝口を捜し続けていた。
ある日、闇取引の現場でまさにその男・溝口を見つけたミヤモトは、あと一息のところで取り逃がしてしまう。そしてなぜかその場にいたミリという不思議な少女から未来を救う<重大な仕事>を手伝ってほしい、と告げられる。
その信じ難いミッションに与えられた期間は3日間!2人は未来を救えるのか!!
以上がストーリーだが、今ではおなじみの時間軸を移動する過去改変もの。ま、ターミネーターものである。
だが、山崎貴のこの作品で、当時俺は嬉しかったのだ。何が嬉しいかと言うと邦画におなじみの泥臭さが皆無で、洋画のようなスマートな作品だったから。この嬉しさは、その後「K20怪人二十面相伝」(2008年・監督・佐藤嗣麻子)でも味わっていて、後に佐藤監督は山崎監督とご夫婦だと知って大いに納得したものである。
2000年にNHKドラマ「六番目の小夜子」で鮮烈な印象を与えてくれた鈴木杏がまた魅力的。金城武とのバディものでもある。また、岸谷五朗がギラギラするような悪役を演じていてすばらしい。昨今の善人キャラが想像つかない。
当時は、洋画でも「マトリックス」シリーズなど個性の際立ったスタイリッシュSF作品が立て続けに公開されていた。この作品は、その中でも遜色ない出来である。特にアクションシーン。特撮やメカデザインも秀逸で白組だものというところ。
山崎監督の「ゴジラ-1」ムーブメントで、この作品も期間限定で再上映されたのだが、見損なっていた。そこで、「ええい」とばかりにDVD購入して観たのだった(苦笑)