映画レビュー(160)「The 100」

1th シーズン
2nd シーズン

2014年からCWテレビジョンネットワークで放送されたアメリカ合衆国の終末ものテレビドラマシリーズ。実によくできている。
本日2ndシーズンまで観た。
2020年の第7シーズンまである一大サーガである。


全面核戦争から97年目

 地球軌道上の12のステーションを合体させたアークと呼ばれる巨大ステーションで、人類はかろうじて生き延びていた。酸素や食料などを節約し、厳しい規律のもと生きる人類。だが、そのステーションも老朽化が進み、地上へ戻ることを検討することになった。生物の生存が可能か否かを調査するために、素行不良で収監されていた100人の若者たちが地上の派遣される。
 地上に降りた若者たちの中で起きる権力争い。寿命の迫るステーションでの権力争い、生存競争などのほか、地上で生き延びていた地上人(グラウンダー)との確執も描かれる。波乱万丈の物語だ。

米国の歴史のメタファ

 当初、この作品はヴェルヌの「二年間の休暇」(十五少年漂流記)風の設定で始まるのだが、そのダークな内容に「二年間~」を暗転させた「蠅の王」(ウィリアム・ゴールディング)のようになるのかなと思った。
 ところが、地上で生き延びていたグラウンダー(森の民)との確執から、移民初期の白人たちとネイティブ・アメリカンとの確執の様にも見えてきた。
 1620年、マサチューセッツに着いたメイフラワー号の移民が、正に102人。この作品はそのアメリカの歴史を暗喩しているようだ。
 誤解や憎悪の連鎖が、戦いを拡大させていくところなど中東紛争やパレスチナ問題を思わせる。
 さらにシーズン2では、ダムを利用した巨大シェルターに残るマウンテンマン(山の民)との三つ巴の関係まで。このマウンテンマンという存在が、グラウンダーの血液を点滴して生きていくという、言わば庶民の生き血をすする資産家階級っぽいポジションで、これもまた米国の近現代史を暗喩してる感受けた。

成長ドラマとしての側面も

 物語の進行に連れて変わるキャラクターの成長も見もの。
 理想家肌のリーダーが暗黒面に堕ちていったり、最低な奴が事件や体験を通して善の側に変わっていく等、連続ドラマの欠かせない魅力である。
 現在、プライムビデオでかなり先のシーズンまで観ることができそうなので、避暑を兼ねてコンプリートしてやろうと思ってる。
 シーズン3では、グラウンダーへの憎悪を煽って議長になるヒトラーみたいなキャラも出て来て目が離せない。



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