ブックガイド(172)「SRO、警視庁広域捜査専任特別調査室」シリーズ(富樫倫太郎)
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いや面白い。ここ二週間、夢中で読んだ。
シリーズは以下
SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室(2009年10月 C★NOVELS / 2010年11月 中公文庫)
SRO II 死の天使(2011年1月 中公文庫)
SRO III キラークィーン(2011年3月 中公文庫)
SRO IV 黒い羊(2011年12月 中公文庫)
SRO V ボディーファーム(2013年3月 中公文庫)
SRO episode 0 房子という女(2014年3月 中央公論新社)
SRO VI 四重人格(2015年9月 中公文庫)
SRO VII ブラックナイト(2017年7月 中公文庫)
SRO VIII 名前のない馬たち(2019年7月 中公文庫)
SRO IX ストレートシューター(2022年3月 中公文庫)
さらに新シリーズが2024年1月に出ていて、それを昨日読み終えたところ。
警視庁刑事部に「警視庁広域捜査専任特別調査室」 (Special Research Office for Extensive Investigation) 、別名:SROが新設される。メンバーは7名のうち、5名がキャリアという異色の構成で、各都道府県警の管轄を越えて捜査できる日本版FBIとも言われる花形部署と思われていたが、その実、メンバー全員がワケありのエリートたちだった。
このシリーズが面白いのは捜査側のキャラが立った面々が、それぞれ家庭や過去に問題を抱えていて、事件捜査を通じてそれらにそれぞれが落とし前をつけていくドラマ。また犯罪者側に近藤房子という稀代のサイコキラーを配置して、彼女の内面もまた読みごたえがある。
殺しのトリックだとかアリバイ崩しとかの細かな細工は全くなく、犯罪者側も捜査側も同時に描いていくスタイルに興奮した。
誰が、何故、どうやって、等のミステリーではなく、この犯人に、捜査チームはどうやって近づくのだろう、という過程を味わい尽くす。読み始めたらやめられないシリーズである。第一シリーズ完結してるので、年末年始に一気読みがお勧めである。
全巻セットはこちら。