「不死の宴 第二部北米編」あとがき
(2021年7月)
アマゾンのキンドルストアで「第一部終戦編」を出してから、三年経ってしまった。
この「不死の宴 第一部」シリーズ、書き上げたのは、さらにそれより前の四年前であった。
一年間のブランクがあるのは、その間、さる公募に送ったりしてたからだ。キンドルストアから個人で出しているから、当然落選している。
作品的には自信があったので、電子書籍でリリースした。ただ、専業にできる当てがないので、その後二年間は派遣社員や夜勤のバイトなどを続けていて執筆に向かうモードに入れなかったのである。
昨年、満を持してバイトを辞め、第二部執筆に入った。
一九五六年のアメリカ合衆国が舞台なので、作者自身が作品に没入するのに少々時間がかかった。
私は一九五八年生まれでまだ生まれていない時代だし渡米経験もない。空想で描いたアメリカは、ネット投降作品の「ナーロッパ(なんちゃって中世ヨーロッパ)」といい勝負かもしれない。言わば「ナメリカ(なんちゃってアメリカ)」だ。
書き始めるのが遅れたおかげで、大統領選挙やBLMなどの現代の問題を視野に入れることができた。これらの源流が五十年代のアメリカにあるからだ。
一九五六年はアイゼンハワー大統領が再選される年であり、赤狩りが沈静化し、公民権運動が激化する直前である。アメリカの民主党と共和党が、その支持層が正反対に入れ替わった時代でもある。
このシリーズにおける、永遠に死なないヴァンパイア達とは、遺族の心の中で若いまま永遠に生き続ける靖国の英霊のような存在かも知れない。
作品を書きながら、彼らの目線で、現代史の中を生きているような気がしている。
第三部沖縄編は、本土復帰前後の一九七二年の沖縄を舞台にして、第一部の登場人物、西城や東郷、そして守矢竜之介、如月一心・みどりたちの物語を綴る。
さらに第四部世紀末編では一九九〇年代の日本を舞台に、カルト宗教の跳梁跋扈したあの時代を、彼らがどう見つめたのかを描いていく。当然、アクション満載のエンタメでもある。ご期待ください。
第三部は、来年の夏。第四部は再来年の夏を予定しています。
第二部を書いていく上で、プロの商業作家やキンドルで活躍するインディペンデント作家の方々の面白いという声や、励ましの声が大きな力になりました。あらためて感謝いたします。ありがとう。そして、お待たせしました!