はじめに(あるいは開始の辞)
インディペンデント(※要は一匹狼の素人)作家の作品に公式も非公式もあろうかとは思うが、今までシリーズ全体を通して読者サイドにアピールする場を作る作業を怠っていた反省から、Noteのマガジン機能を利用して、見よう見まねで作ってみた。
第一部リリースから7年
「第一部終戦編」をKindleでリリースしたのが2017年9月である。実は書き上げたのはその前年。エンタメ系の長編公募でかすりもせず、ネタ的にもう時流ではないと思われてるのかと悟り、Kindeleでリリースした。
実は、私の唯一の文芸修行仲間のO君から、「電子書籍って自力で出せるんですよ」と教えて貰った事をきっかけに、その少し前から自力で作品のテキストデータをEPUB化、それをKindle用にMOBIファイル化してアップする作業は行っていた。
一番最初にKindle化したのは「神様の立候補」という作品。これは私の公募入選作。主催がテレビ局、後援が新聞社ということで、どこからも出版されていなかったもの。これをKindleで書籍化したのだ。
まだUnlimitedのサブスクサービス前で、ダウンロード販売だけなのだが、意外に読者を獲得できて、「これ、ありだ!」と感動したのだった。
電子書籍化して読者を獲得したことで、何より大きかったのは書き手としての自信だった。何より大きかったのは、
「俺も長編が書ける!」という確信で、これが最終ページを書き上げた後、「おわり」を「第一部 おわり」に変えさえたのだ。
第二部リリースから3年
「第二部北米編」のリリースは2021年7月である。4年かかってるの? と思われそうだが、北島晃と姫巫女・俊子というキャラをアメリカ合衆国に持って行くところまでは第一部で書き上げたが、「彼らが戦後、北米でどう生きたのか?」という物語の構築に時間がかかったのだ。最初の一年半は50年代(舞台は1956年)のアメリカ合衆国を調べるところから始まった。物語の大筋に合わせて主キャラクターの造形。当時のアメリカ合衆国を揺さぶっていた社会問題として「赤狩り」の終焉と「公民権運動」の始まりは無視できない。
1956年という時代設定は、大統領選挙に絡めたかったからである。執筆当時、アメリカではトランプ旋風が吹き荒れていた。56年はアイゼンハワー大統領が二期目の当選した年で、共和党と民主党がその性格を逆転させた時期でもある。選挙運動にテレビCMが使われた最初期でもあり、この半世紀前の物語で「現代」をも描けそうだと思ったからだ。
そのあたりの詳細を煮詰めた後は執筆速度が上がった。
そして第三部
実はこのシリーズは四部作である。一部から四部までを「起承転結」で展開している。この第三部は言うなれば「転」。第四部の「結」は最大のクライマックスになる予定。
構想では1990年代から2000年を舞台に、カルト教団やオカルト的な都市伝説が跋扈する世紀末の世相を背景に、西城達ヴァンパイアと守矢一族の物語を語っていきたい。
当時、私は地方の新聞系広告会社の営業からWEBディレクターになる頃で、色々な事件を見聞きしてきた。そんな経験が上手く使えそうな予感がしてる。
今回の第三部では、その第四部への伏線も散りばめてある。お楽しみいただけるとうれしい。
夢はスピンオフ
四部作で物語は完結するが、生み出したキャラクター達のその後が気になるのは、読者だけではない。作者も大いに気になっている。
三人称多視点の群像劇だった本編とは別に、彼らをそれぞれ主人公にした一人称の短編を書いていきたい。そう、平井和正氏が群像劇としてのウルフガイ・シリーズとは別に、一人称の連作短編シリーズ・アダルト・ウルフガイ・シリーズを書いたように!