映画レビュー(191)私をスキーに連れてって
1987年、バブルの最中に作られたホイチョイプロダクション原作の青春映画。
内容は今更説明は不要だろう。この時代、私も広告会社の営業で、同じように週末スキーに誘われていた。乗ってた車まで主役と同じカローラ2。
もっとも映画では、大手商社の社員だったり外科医だったりで、バブルなレジャーにウハウハ状態であるが、私は、地方の三流私大から地方の小広告代理店で、扱う仕事も新聞の求人広告からスタートしている。
東京で大きな仕事に携わり、おまけに映画を作るクリエーターでもある関係者たちと比較して、小説を書いても毎回二次予選で落ちている我が身と比べて、大きなルサンチマンを感じたものである。
彼らが東京の大手商社を舞台に「私をスキーに連れてって」という「爽やかな青春映画」を創作していた時、私は地方広告代理店の風俗営業の広告取材現場の経験を活かした「薔薇の刺青(タトゥー)」という「ほろ苦いハードボイルド小説」を書いていたのだった。
この作品を見る度に、そんな青春時代を思い出して苦笑いしている。
当時、私が書いていた作品がこれ。
ホイチョイの人たちがユーミンの軽やかな歌で映画を撮っているとき、俺の小説では、このメランコリックな曲をラストシーンでヒロインの歌姫テッシー・パドレスが歌うのだった。
実は、原田知世さん主演の同じくホイチョイムービー「彼女が水着に着替えたら」は一転してダイビングがモチーフである。
ところが、バブル真っ最中の当時、やはり私はダイビングもたしなんでいて、「どこまでも俺を追いかけてきやがる」と苦笑いしたのだった。
映画ではクルーザーや別荘を所持してやがるけど、俺は金がなかったので、ライセンスを取った後はもっぱらシュノーケリングばかりしていた。始めたきっかけも広告主のダイビングショップへのお付き合いである。
ここでもルサンチマンを抱いたものである。ああ、青春。