映画レビュー(209)「櫻の園」(1990年)

原作・吉田秋生

毎年春、聖華女子学院の創立記念式典で演じられるチェーホフの「櫻の園」。その上演までの2時間を、演劇部員である少女たちの目線で描いている。前夜、喫煙で補導されてしまった部員のせいで、上演中止の危機に見舞われる。無事、上演できるのか?
少女たちの秘めた気持ちや、大人に対して芽生える反発など、きめ細かな演出で映像として描かれる。百合的要素も見逃せない。
実は公開時の1990年、既に32歳になって1児の父になっていた俺なのだが、この映画を観て繊細な少女たちの気持ちに心奪われたのだった。
生徒たちを演じるのは、今ではベテランとして大活躍している面々。彼女たちの美少女時代もまた眼福だった。
生徒たちの憧れの先輩・倉田を演じた白島靖代さんが2001年で芸能活動を休止しているのが淋しい。
本編の時間と、物語内の経過時間がほぼ同じであることもテンションの高さに繋がっている。
久しぶりに再見して素敵な時間を過ごせた。
「櫻の園」
(追記)
当時、中原俊監督の映像演出を真似たCMが何本も電波に流れた記憶がある。

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