楽天IR戦記
『楽天IR戦記』という本を読みました。
本書は楽天史上初のIR専任担当者の方が執筆されています。
IR(Investor Relations:インベスター・リレーションズ)とは、企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、
業績の実績・今後の見通しなどを広報するための活動を指します。
具体的な活動としては、ホームページ上における情報開示だけでなく、
ディスクロージャー資料の送付や、決算説明会や各種説明会を開催したり、
工場や施設などの見学会を実施したりするなど、企業によっては独自のIR活動を行っているところもあります。
日本では、1990年代後半あたりから積極的にIRに取り組む企業が増えてきました。
時系列順に著者が楽天で経験したIR関係の業務について解説しています。
IRについて、初心者の私にとっては、とても面白い書籍でした。
当時、ある程度ニュースを見ていた人ならば、「舞台裏はこんなことになっていたのか」と思うかもしれません。
おそらくかなり楽天を美化して書いていると思うので、この分野に詳しい人から見たら、
おや?と思うことがあるかもしれませんが、少なくとも私は楽しく読むことができました。
聞き覚えのない専門用語が沢山あり、本書巻末の用語集を見ながら読んでいました。
他所の業界から見たら、どの業界もこんな感じなんでしょうかね?
さて、本書を読んでいて強く感じたのは、
「新興企業にとって資金集めの大変さと重要さ」と、
「機関投資家の影響力の大きさ」です。
「新興企業にとって資金集めの大変さと重要さ」
資金調達が迅速にできないと加速度的に大きくなっていく事業を維持できません。
しかし、資金は確実な事業ほど調達しやすく、新興企業は如何に自分たちのビジネスが利益を生むかを証明しなければなりません。
楽天についての書籍ですらそう感じるのですから、スタートアップ企業なんかは大変なんでしょうね。
愛媛FCのオーナー岡田武史さんが仰ってましたが、経営とか予算繰りってストレスフルですね。
4分10秒頃から
自動車業界だと大きな資金をキャッシュで持っていて、事業などに投資しないという話も聞きますが、
楽天のようなインターネット企業とは大きな違いですね。
内部留保は現在のような経済危機には大変心強いですが、好景気には波に乗りづらい。
一長一短なんですね。
「機関投資家の影響力の大きさ」
IRの方の本なので当然ですが、機関投資家の企業にとって、市場にとっての影響力は大変大きいことを学びました。
彼らの意思決定というのは、起業の行く末や個人投資家の行く末を大きく動かしています。
個人で頑張るのは限界があるなあとしみじみ思いますね。
その他、楽天のM&A方針について、
「中途半端なM&Aは中途半端な成果しか得られない」という言葉がありました。
これは、ソフトバンクの戦略でも似たようなことを聞いたことがあって(「トップの企業を買収する」)、
一気に大きくなるネット時代のビジネスは勝者と敗者がはっきりするからこそなんでしょうね。
シェアを分け合うよりも、一社が独占できてしまうんですね。
長々書きましたが、私のような初心者も楽しく読める本なので、是非ご一読を!!
〇参考