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あいまいな夜 あとがき

人は過去を美化しようとする

やっぱりそんな気がしています。

前々から形にしたいなと思ってきた事でしたが
物語とは言え過去の恋愛ベースなんて「誰が興味あんねん」と
物語にすることで「美化」して「良かったもの」として出すことに
違和感を覚えていて、ずっと書けずにいました。

未だに、こうやって形にしてよかったのかという葛藤があります。

物語の結末は、いくらでもハッピーエンドにすることは出来たのですが、
それこそ「過去の美化」であり
物語の初めに手招きしてお店の中に入れてくれたおじさんに
10年経って自分がなる、という方が
リアルだなと思ったのでそうしました。

この物語を書くにあたって
京都に1週間ほど滞在し、その当時に見た景色や、考えたことをほじくり返しました。
後悔や自己嫌悪が止まらなくて、苦しくなって、こんな話書くもんじゃねえとも。

ですが、恋愛という要素はいったん置いておいて
お互いがお互いのために、言葉に向き合った出来事として
大事にしておきたい物語だなと、やっと思えるようになったので
書いて、形として残しておこうと思いました。

コミュニケーションに正解はありません
人と人のものですから。
どれだけ上手な言葉より、きれいで美しい言葉より

荒くて、どうしようもない言葉のほうが
ずっと伝わることがあります。

それは、良い意味でも悪い意味でも

今まで、自分が大事にしてきた言葉というものが
凄く馬鹿らしくなるぐらいに
全部壊してしまいたくなるぐらいに。

それでも、言葉を考えるのが好きです。
下手くそでも、上手にならなくても。

それを思い出せたことは
この物語を書いてよかったなと思うことでした。

きっとこんなnoteにたどり着いた人は
文章や会話や言葉が好きな人が多いでしょうから、

皆様の周りに、あったかくて優しい言葉が溢れますように

なむなむ!

森見登美彦さんの
「夜は短し歩けよ乙女」
この本と一緒に京都の街を
くるくるふわふわと
歩けたことに感謝しています。


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