私が教師をやめるまで#外伝1
【外伝#1】ある日のやり取り
私「先生、今日の授業はどうしますか?」
教員A「え?授業?ああ、そうだった。今日は自習だよ」
私「またですか?先生、最近ずっと自習ばかりで……」
教員A「別にいいじゃないか。自分で勉強する方が身につくだろう」
私「でも先生、テストも近いし、わからないところも多いし……」
教員A「じゃあ質問すればいいさ。俺はここにいるから」
私「でも先生、質問しても答えてくれないじゃないですか」
教員A「そんなことないだろう。ちゃんと答えてるよ」
私「先生、それ本当ですか?昨日も一昨日も前々日も……」
このやり取りを聞き耳を立てていた先輩教員が、思わず口を挟んだ。
先輩教員B「すみませんが、このクラスの担任の先生ですか?」
教員A「ああ、そうだよ。君は?」
先輩教員B「私は隣のクラスの担任です。この学年の国語担当でもあります」
教員A「そうか。よろしくね」
先輩教員B「よろしくお願いします。実は私、このクラスの授業風景に少し気になる点がありまして……」
教員A「気になる点?何だよ?」
先輩教員B「その……先生方が自習ばかりさせておられることですが……これはどういう意図でされてるんでしょうか?」
教員A「意図?別に意図なんてないよ。ただ面倒くさいからさ」
先輩教員B「面倒くさいって……どういうことですか?」
教員A「どういうことって、そのままだよ。教えるのが面倒くさいんだよ。生徒たちもろくなもんじゃないし、成績も上がらないし、やる気もないし……」
先輩教員B「そんなこと言わないでくださいよ。生徒たちは先生方に期待してるんですよ。先生方が教えてくれれば、もっと頑張れるんですよ」
教員A「期待してる?笑わせるなよ。俺に期待してるのは、授業をサボらせてくれることだけだろう。それに頑張っても無駄だよ。この学校は落ちこぼればかりだからさ」
現場の教育に対する温度差は激しい。