私が教師をやめるまで#18
【第18話】ネグレクト:関心のない家庭で育つ子供の実態
ある日私が担当するクラスの中で、Bさんという生徒の存在に気がついた。
Bさんはいつも一人で学校に来ていた。
授業中も机にうつむき、周りとのコミュニケーションもほとんどとっていなかった。様子が心配になり、何度か話しかけてみたが、彼は何も話さなかった。
ある日、私は彼を呼び出して話を聞くことにした。
彼は何も話さないまま、うつむいていた。
時間をかけながらコミュニケーションをとって、話を聞いていくと、彼が自宅でネグレクトを受けていることが明らかになった。
Bさんが受けていたネグレクトは、いくつかの面で深刻なものでした。
まず、彼の母親が彼に全く興味を持っていないことが大きな問題でした。
Bさんが学校に出席するかどうか、宿題をやったかどうか、試験の結果がどうだったかなど、母親は一切気にかけていませんでした。
生活に関しても自分で食事を作るかコンビニ弁当です。
彼が食べるものは、市販のお菓子やジュースなど、栄養がほとんどないものばかりでした。
そのため、彼は学校での授業中に集中力が欠け、体調も悪くなっていました。
さらに、Bさんが着用していた服も、汚れていたり破れていたりすることが多く、見るからに不潔な印象を与えるものでした。彼は、クラスメイトにからかわれたりすることが頻繁にありました。
最終的には、母親の方から
「学校で受けるすべての模試に関して、息子は受けないので、当初振り込んだ金額をすべて返金してほしい」と言われました。
これらの問題が重なって、Bさんは学力に対する自信を失い、自分に対する自信を失い、学校での生活にも悪影響を与えていました。
家庭環境が、子供たちの学力・生活習慣・メンタルヘルスに深くかかわってきます。
「家庭」は学校からは閉ざされた空間であるため、解決がとても難しいのが現状です。
今回の問題も、最後まで平行線をたどる結果となりました。