映画『THE LEGEND&BUTTERFLY』はディカプリオ版の映画『タイタニック』を超えるか?
さて、久しぶりの映画評な訳ですが、率直に言ってこの映画『THE LEGEND&BUTTERFLY』は日本映画の歴史を画する作品になるかもしれません。さらに率直に言わせてもらえば、何よりもまず面白いです。
私は、公開初日の舞台挨拶付き上映を観て、その翌日に、別の劇場でもう一度この映画を観ました。今後は「3回目以降もありだな」と思っています。それくらい面白いです。
古典的な名作かと問われれば、そうではないと答えますが、歴史ラブロマンスという新たなジャンルを切り拓いた映画として後世に名を残すのではないかと思います。
この作品が目指したのは、越えようとしたのは、ディカプリオ&ウィンスレット版の映画『タイタニック(英題: Titanic)』(1997年)です!
観る者の誰もが冷たい海に沈んでいくディカプリオを見ながら「死なないで!」と心の中で叫んだのと同様、史実として本能寺で死ななければならないキムタクと重い病の綾瀬はるかに対して、やはり観る者の全てが「死なないで!」と声に出したくなる。
そんな新しいラブロマンスを大友啓史監督は見事に創り上げたと言って良いと思います。この映画は伝統的な日本の時代劇のセオリーをいくつも破っています。
まず、信長と濃姫の関係が、対等な夫婦関係を飛び越えて、圧倒的に濃姫の能力が信長を超えている関係だということ。次に、戦国時代を描いた物語でありながら大規模な合戦シーンを排除しているということ。さらに、信長の人物像が、狂気や非凡や天才や鬱屈といった、従来の様々な解釈を一蹴し、カッコつけたいだけの素朴な人物として理解されていること。しかもそれらが、濃姫との関係において初めて説得力を持つような構成になっていて、その意味でもこの作品は、あらゆる角度から見て、徹頭徹尾、そのラブロマンスとしての本質がストーリーの全体を貫いている、ブレない芯のある作品として作り込まれている。
そんな新しいジャンルの歴史ラブロマンス、前半はほとんどラブコメそのもの、という作品なので、ラブコメ好きの女性には特にオススメです。カップルで観にいくにもピッタリです。
まず劇場で試してみてください。私の伝えたいことが、分かってもらえると思います。