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74年 「きれいな絵ね」 ふっと後ろから声をかけられたアンナは、少しキャンバスに被さって隠した。 「ごめんごめん、怖がらせてしまったようね。日記、渡しに来たよ」 声をかけてきた彼女の名前はマリヤ。この地図にない町―――計画都市の入植者の同期で、不慣れな土地で塞ぎ込んでいた私に声をかけてきてくれた。そう、さっきみたいに…。 「…ありがとう」 日記を受け取って、地面に放ってあったカバンに入れる。 「探すのに苦労しちゃったな。 絵、描いてていいよ」 「うん…」 私
75年 やはり、アンナは学校に溶け込めなかった。友達は出来ているし、勉学にもついていけないということではなく、学校のあの軍事的教練が肌に合わないらしい。 そして、党の政策のもと形作られたこの都市に、修道院が作られた。多くの人々は、信仰ではなく元の生活の一部を取り戻そうとして通っており、アンナも通っている。 私はというと、祖国のためのИ計画に従事することになった。 その計画の全ては私も分からないが日本行きが決定しており、親元から離されアンナと出会った学校から養成学校