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ママはコミュニケーションお化け

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幽霊になったお母さんと神社に住み着く娘のウララの話 現在、小説本文を書いてます。一区切りついたら、挿絵を差し込んでいこうと思います。
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#百合

5話 アンナとマリヤ

 74年 「きれいな絵ね」  ふっと後ろから声をかけられたアンナは、少しキャンバスに被さって隠した。 「ごめんごめん、怖がらせてしまったようね。日記、渡しに来たよ」  声をかけてきた彼女の名前はマリヤ。この地図にない町―――計画都市の入植者の同期で、不慣れな土地で塞ぎ込んでいた私に声をかけてきてくれた。そう、さっきみたいに…。 「…ありがとう」  日記を受け取って、地面に放ってあったカバンに入れる。 「探すのに苦労しちゃったな。 絵、描いてていいよ」 「うん…」  私

6話 И計画

 75年  やはり、アンナは学校に溶け込めなかった。友達は出来ているし、勉学にもついていけないということではなく、学校のあの軍事的教練が肌に合わないらしい。  そして、党の政策のもと形作られたこの都市に、修道院が作られた。多くの人々は、信仰ではなく元の生活の一部を取り戻そうとして通っており、アンナも通っている。  私はというと、祖国のためのИ計画に従事することになった。  その計画の全ては私も分からないが日本行きが決定しており、親元から離されアンナと出会った学校から養成学校