いけみまきこ

0-3歳モンテッソーリ教師。保育士。哲学者。真に主体的な人間を育てるには？と問い続けて…

いけみまきこ

0-3歳モンテッソーリ教師。保育士。哲学者。真に主体的な人間を育てるには？と問い続けて哲学、ヨガ、宗教、モンテッソーリと遍歴してきました。女性が妊娠・出産・産後を通して新たな自分に生まれなおすためのサポートをしています。暑いのが苦手。

  • モンテッソーリの足跡

    モンテッソーリ教育について私なりに考えたことを綴っています。

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産後の女たちの産みの苦しみ

創造のプロセスというのは例外なく混沌を、濃密な闇を通る。新生児は象徴的で、暗い胎内で人知れずかたち作られ、出産という試練をくぐりぬけてこの世界に生まれ出る。お産の時の女性も、黄泉の世界に降りていくような体験をして新たないのちを生み出す。しかし産後の女性もまた、同じように混沌を通り、死と再生を体験するのだと思う。 お産でいったん破壊された身体は、完全に元に戻ることはない。心のあり方もまた同じ。古いものが破れると、その瓦礫の中からふと新たな秩序が現れる。産後とは、壊れた心身が新

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    • モンテッソーリの語る子どもの市民権：社会全体を子どもの家に

      モンテッソーリ教育の施設はCasa dei Bambini、子どもの家と呼ばれる。これはマリア・モンテッソーリがローマのスラムに最初に作った子どもの施設の名前でもある。しかし子どもの家という名は同時に、ラディカルな社会的主張をも含んでいるように思う。 モンテッソーリは言う、子どもは「忘れられた市民」であると。今や労働者の権利、女性の権利は認められ、奴隷も解放された。しかしこうした解放運動にすら忘れられている存在がいる。子どもである。 子どもはいつから人間になるのだろうか、

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      • マリア・モンテッソーリの原体験

        何かとてつもなく不思議なものを、聖なるものを見てしまった。マリア・モンテッソーリの教育の根底には、そういった強烈な原体験、ある種の啓示らしきものがあるように思う。 子どものあどけない姿はしばしば大人の目を欺く。通常、子どもは愛でる対象であり、尊敬の対象ではない。大人は子どもに何かを教えることはあっても、子どもの前に頭を垂れて何かを学ぶということはしない。それにも関わらず、モンテッソーリ教育の教具や方法論の根底に流れている通奏低音は、子どもに対する限りない敬意、である。特にマ

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        • 子育ては変容の旅であり、スピリチュアルな営みである

          子育てには深いレベルの変容、メタノイアが必要本当に重要で難しい問題の解決というのは、過去の延長上にはないと思う。問題が存在しているということは、たとえ意識していなくても、私たちがそれを作り出したということ。それならば、意識が変わらないと問題もそのままになるのは当然のこと。目標設定などの単なる意志による努力は、昨日を再生産することにしかならない。 子育てや教育にもこのことが当てはまる。良い親になりたいと願い、ポジティブな声かけをする、子どもを待つといった目標を立てても、そう願

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        マガジン

        • モンテッソーリの足跡
          3本

        記事

          モンテッソーリのコスミック教育：東洋と西洋が出会うところ

          ひとつの人類という意識。遠いゴールにも思えるが、これを達成するのが現代の課題のひとつであると思う。モンテッソーリの思想にはこの点でも聞くべきことがある。 モンテッソーリの小学生向けのカリキュラムにコスミック教育というものがある。そこでは世界と人間の歴史が物語として語られ、子どもたちはその印象を胸に生物、数、言語、アートなど日々の具体的な学びを進めていく。物語という形で全体を感じた上で、部分にフォーカスする。 そこに表れている世界観を要約すると以下のようになる。 ・世界は不

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          お産から始まったエイリアンとの関係

          私にとってのお産は、あの数日間だったように思う。 手術室で産声を聞いたとき、世界が割れた。 ずっと聞きたかった歌、はじまりのうたが聞こえる、そう思った。 しかし本当のはじまりはその後だった。 帝王切開の翌日、新生児とふたりっきりで部屋に残され、心底途方にくれた。この人間とこれからずっと一緒に生きていくのか…そう思おうとしても思えず、とりあえず顔をながめる。 助産師さんは「かわいいー」と言うけれど、 私にはエイリアンにしか見えない…。 それまでの私はひとりの時間がすご

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