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生活不履行


 おそらく何度目かのアラームで目が覚めた。

 今日は通院の日。

 ツイッターを開いたら、今朝の5時過ぎにnoteを投稿していたことが判明した。

 そういえば、言われてみれば、カップラーメンを食べたし、ツイートしようとしたら毎度のとおり長くなって、noteにコピペして、何か書いた。
 それを書き切って、投稿して、ご丁寧にリンクをツイートまでしている。

 最近は記憶のないうちに色々なことをしているらしい。
 悪さはしていないから、まあいいといえばいいんだけれど。


 なんだかぼんやりしていたら、昨日洗濯物を回して、出かける時間になってしまって干さずに放置していたのを思い出した。
 昨日も30度を超える日だった。
 そんな灼熱の中、濡れた服を密室に1日放置しているの、かなり、まずい。
 (我が家の洗濯機はお外にあります)

 何が正解なのか、何かをすれば巻き返せるのかはわからなかったけれど、とりあえずもう一度洗濯機を回そうと思った。

 と、気づいて洗濯機を回したのが家を出る30分前だった、と気づいたのは家を出る時間の10分前だった。
(この洗濯機はとても時間がかかる)

 洗濯機については応援するしかないから、とにかく今は自分の準備を急がなければならない。
 最近は専ら眼鏡なんだけれど、お化粧をするときは眼鏡がない状態な訳だから、とっても難しい。
 しかもなんかよく見たら眼鏡曲がってるし。
 一回気になると気になっちゃうなあ。


 服を着替える。
 とりあえず靴下がない。洗濯物を溜めすぎて、靴下のその日暮らしをしている。

 失くしまくることを前提に最近は基本的に同じ靴下しか履かないことにしているんだけれど、いつも白い靴下に黒い靴だから、なんだか色が移るみたいで、新しい順に白から薄い灰色のグラデーションになってしまって、結局同じくらいの色合いのセットを探すハメになっている。



 服を、着なければならない。
 本当に、毎日何を着たらいいかわからない。
 私にはおそらく「センス」ってものがない。 
 運動も音楽も、そしてファッションも。

 最近「今日何着てますか?」というやつにややハマっている。
 通りすがりのおしゃれな人に、その時のファッションを紹介してもらうという動画である。
 古着、聞いたこともない海外のブランド、ハンドメイド、お下がり、拾った(拾った?!)、もちろんハイブランドと言われるものもあったり、本当に様々なんだけれど、一点一点はちょっとお歳を召した感じがしたり奇抜なように見えても、全体で見るとちゃんと垢抜けておしゃれで、本当にすごい。
 私もファッションセンスのある人になりたくて「今日何着てますか」をたくさん見るようにしているけれど、一昨日、それは「九九さえままならない人が張り切って東大の赤本に取り組んでいる」状態なのだと気づいた。
 レベルに合った参考書というのは、効率的なレベルアップにおいて重要である。


 九九がままならない私でも、服は着なくてはならない。それは、法律だからだ。

 クローゼットに向かって歩いていたら、棺桶の角に膝をぶつけた。痛い。
 私は本当に、行動するときに目的の一点しか見えていないんだと思う。
 棺桶に入りたい気持ちをまあまあと宥めながら、服を選ぶ。
 こういうところは成長だよね。今までだったらここでパニックを起こして泣き叫んで1日終了だった。

 夏だから、夏の服を着た。


 家を出る時間を過ぎて、洗濯物が終わった。

 匂いを嗅いでみたところ問題なさそうだったけれど、私は自分の嗅覚をあまり信用していないから、怖い。

 しかもよりによって黒もののおしゃれ着洗い。
(私の洗濯機には「おしゃれ着」といったコースはなく、「ドライ」なのですが)
 炎天下に放置して、しかも2回洗っちゃって、本当にごめんねえ、と思いながら、快特スピードで干す。

 私はこの干すという作業がどうも苦手で、ハンガーとお洋服の肩の位置を合わせるとか、洗濯バサミの集合体(あれ、なんていうんですか?)が最終的に傾かないようにバランスよく吊るすとか、そういうことがなかなかできない。

 今回もなんかはじめてのおてつだいみたいな仕上がりになって、仕方がないから洗濯を終えたものとした。



 家を出る。15分遅刻してしまうらしいから電話をかけたらお昼休み中だった。

 玄関の全身鏡で自分のいでたちを確認すると、普通に膝から血が出ていた。
 みっともないなあと思いながら、絆創膏のありかはわからないし時間もないので放っておくことにした。

 私はスニーカーを持っていない。
 持ってはいるんだけど、キツ過ぎる靴か、元衣装靴である。
 よって、どんなに急いでいる時でも4センチ以上の厚底のやけにゴツくて重たい靴を履くしかない。
 生活が苦手というか、そもそも生活志向でない、のかもしれない。


 ドアを開ける。炎天下、全然真夏、さいあく。
 概念としての夏は好きだけれど、実体としての夏は大嫌い。


 暑いし、膝痛いし、と思いながら電車に揺られる。

 なんと今日は全ての乗り換えを成功させた。

 と、思いきや、気づいたら知らない駅にいた。

 乗り過ごしたらしい。


 本当に、私って、人間として生き延びること、可能ですか?



 待合室で、これを書いている。
 遅刻したのに入れてくれて有難う。
 でも遅刻したので待ち時間は大幅に伸びて、noteを一本書ける。
 まだ膝の傷は「生傷です!」と言わんばかりの光沢を持っている。


 今日も生活不履行を重ねて、ちょっとずつ人生が散らかって傷ついていって、24歳だから耐えてるかもしれないけど、私、どうなっちゃうんだろうね。

 困っちゃうな、私、これからも、生活を試行するインターネット・アイドルです。



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