春の雪山は暖かいぞ
雪山に登っていると口にすると、すごいですね! なんて言われることがある。普段、山に登らない人だけじゃなく、雪がない時期に山を登っている人にとっても、雪山はハードルが高い遊びに映るみたいだ。
雪山は夏山より環境が厳しい。真っ先に脳裏に浮かぶのは、凍てつくような寒さではないだろうか? 猛烈な吹雪のなか、じっと強風を耐え忍び、顔の周りには霜が付着している。そんなようすを思い浮かべる人が多いのかもしれない。
そして、装備が不十分だと、凍傷にかかって指などを切断するはめになる。さらに、体の一部を失うだけならまだよくて、低体温症で命を落とすことも大いにあり得る。やっぱり雪山ってハードルが高い。
でも、それはそれで事実だけど、全然厳しくない雪山もある。抜けるような青空が広がり、強い日差しを浴びながら汗をたっぷりかいて、暑いくらいなのでTシャツ一枚で登っても大丈夫。そんな雪山は、春になるとやってくる。いわゆる残雪期というやつだ。
つい先日、福島県にある標高1500mの雪山に泊りがけで登った。夜中、眠ったのはテントの中。さぞ、寝袋に包まり寒さに震えるようすをイメージすることだろう。
でも、腕時計の温度計で計ってみたら、テントの中は15℃もあった。体温で温められるのもあって全然寒くない。ちなみに、夕方に外の気温を計ってみると、このときは4℃だった。寒いと言えば寒いけど、暖かいウェアを着ているので全然辛くない。真冬のスキー場とかのほうがはるかに寒い。
標高や天気にもよるけど、こんな雪山も世の中にはある。
ぽかぽか陽気の春の雪山は、本当に気持ちがいい。テントを張った山頂で360度の絶景を仲間と楽しみながら、もっとたくさんの人が雪山に登ればいいのに、なんて余計なお節介を考えてしまった。
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