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お先、真っ暗

YouTubeはよく見るけど、登山系チャンネルはほとんど見ない。だからか、登山の遭難啓発系チャンネルというのがあって、一部で問題視されていることも知らなかった。

遭難啓発系チャンネルとは、山岳遭難の事例をいくつも紹介しているチャンネルのこと。

そこにアップされているいくつもの動画には、過剰に恐怖心を煽る言葉と顔にモザイクをかけた気味の悪い写真がサムネイルに使われていて、かなり目を引く。

そして、本編はAIによるナレーションに沿って、イラストと適当な写真、地図などを使い遭難の時系列が紹介されて、最後は遭難しないためのポイントをまとめた内容で締めくくられる。

そんな動画を、つい見てみたくなる人が多いのだろう。何十万回も再生されている動画がいくつもある。

遭難啓発系チャンネルの問題点はいろいろ指摘されていて、そのなかでいちばんの問題は、人の不幸でお金を稼ごうとしている点だ。

当事者や家族、知り合いの立場になって考えると、そんな動画を目の当たりにしたら、腑が煮え繰り返る思いになるはず。

たとえそれが善意からくる行為であっても、関係者に動画作成の許可を得て、内容を確認して頂き、最大限の配慮がそこになければ、それは再生数を稼いで広告収入を得るためだけに作られたコンテンツと同罪といえる。登山者のために、などと弁明されても、自分が当事者だったら、怒鳴り散らしているところだ。

そんな動画を作る輩もどうかと思うけど、参考にしている人も多いらしい。それにも驚いた。というか、唖然としている。

知識がないから、フムフム勉強になります、となるのだろうか。機械的なナレーションと適当なイラストや写真、地図などを見せられてである。

一体、そのコンテンツのどこに信憑性があるのだろうか。

どんな人がこれらの動画を見ているのか知らないけれど、もし大多数が大人だったとしたら……。

情報リテラシーをもたない大人が巷に溢れ、顔の見えない、人かAIが作った真偽不明のコンテンツを参考にして、賢くなったつもりで生活を送り、それが当たり前のように蔓延する社会。

そんな低レベルな未来がすぐそこまで来ているのかもしれない。

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