山登りの可能性
胸が躍り、いてもたってもいられない、そんな登山に憧れる。
それには、対象が必要だ。行きたい、登りたい、遡行したいという、どんな力をもってしても御し難い激しい衝動に駆られる対象が。
水無川北沢、真沢、村杉半島、飯豊本流、利根川本流などが浮かぶが、もっと何かできるだろう。既存のルートではなく、豊かな発想から生まれる、個性的で、独創的で、もっと魅了的な行程が、きっとどこかにあるはずだ。
今日、久しぶりに地形図を眺めて、安心感という甘美な誘惑で打ち寄せる情報や過去の山行記録などに頑として耐え忍び、必要最低限の情報、等高線と地図記号のふたつのみを頼りに、どこにあるかもわからない、もしかしたら見当たらない可能性もある、自分だけの輝かしい宝石を探してみた。
結果は、具体的な何かは見つけられなかったが、いつか発見に至るヒントとなり得る、その宝石の尻尾は少しだけ掴めた気がする。
やはりというか、登山道の外に登路を見出した人は皆そうだと思うが、おいそれと人が立ち入れない、山奥の奥に自分で考えたルートで向かってみたい。
人跡未踏とはまでは言わないが、人の気配を感じられない、閉ざされた自然の懐へ、渓と渓をつなげて、なるべくユニークなルートでめざしてみたい。
いまはそんな気がしている。
年に一度でいいから、そんな山行の実現を目標にしてみようか。求める者の熱量の先に燦然と輝く、山の可能性を信じて。
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