# VALORANTプロシーンのファンとしての1視点 GC CHAMPIONSHIP編

 はいずるといいます。
 普段は趣味でケモノ絵(基本的にNSFWの一般に見ないほうがいいもの)を描いているものです。万が一noteから来られた方はXには飛ばないことをおすすめします。

 noteではなんか思ったことをとりとめなく書き残して頭の整理をしようかなーと思っています。日記の亜種みたいな感じです。それを踏まえてお好きな方は続きをどうぞ。


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 前の記事で少し触れてましたが僕はVALORANTを遊んでいます。RIOT GAMESのFPSゲームです。プレイヤーとしても楽しんでいますし、プロシーンの観戦も楽しませてもらっています。
 そんな中、先週あたりから行われているGameChangers CHAMPIONSHIPが色々話題になっています。有り体に言えば炎上してます。こういった話題に触れるのはどうかな~と思いつつ、X眺めながら自分の意見を確かめておこうと思い記事を書いてみます。先に言っておきたいのですが、選手個人やチームを批判したり貶す意図はないです。もっと大枠の部分についての意見になります。

(専門的な知識もなんにもない一般人の話なのでまじで話半分の半分で聞いて下さい)


◯ GameChangers CHAMPIONSHIPの炎上

 先に今回の炎上の件をさっくり説明します。GameChangersはVALORANTの大会の中でも「女性やマイノリティ」の活躍を理念とした大会です。公式大会シリーズのVCTやChallengersは性別の区別なく誰でも参加できるのに対して、出場できる選手に性別の縛りがあります。基本的には女性のみ。

 今回の炎上のきっかけは日本のZETA DIVISIONとブラジルのMIBRの対戦。注目するべきポイントはメンバー構成です。VALORANTは1チーム5人で行われますが、そのうち2人まで「トランスジェンダー」選手を入れることができるのです。ここでいうトランスジェンダー選手は「生物学的には男性の体であるが精神的に女性であるとされている」選手とさせてください(細かい定義については触れられないですすみません)。

 ZETA DIVISIONは女性選手5人での編成を取ったのに対しMIBRはトランスジェンダー選手を2人入れた編成を取っていました。色々あって試合結果は、トランスジェンダー選手が無双する形でMIBRの大勝となりました。
 試合中にバッドマナー行為があったとかいう話はシンプルに最悪ですが、それは性別とか関係ない個人の問題なので今回は省略します。それを抜きにしてもXなどでは大変燃えました。(まあトランスジェンダー選手についてのバッシングは数日前から酷くて、YoutubeとTwitchのコメント欄はこの頃には制限されていたので、炎上のきっかけがここかっていうと厳密には最初からって話かもしれません。)

 争点となっているのは「身体的男性が女性の大会に出場して無双するのはコミュニティの破壊・女性の活躍の場を奪う行為だ」というお話が主です。

◯ eスポーツに性差ってあるの?

 一般的なスポーツは性別によって競技が分かれます。いつから、なぜ分かれてるのかの経緯については詳しく知りませんが、何にせよ身体能力に性差があることは一般常識として知られているところですよね。シンプルに男女差があるから分けようって感じの前提で行きます。

 じゃあゲームって男女差あるの?という疑問。反射神経とか空間把握能力とか、なんかそういう研究あるらしいよーみたいなコメントが動画とかについてたりしますけども、生物学観点に基づいた厳密な研究がどこまで行われてるのかは分かりかねます。

 ただ、過去の試合結果などからおよそ言えることとしては「性差はあるんだろうね」です。過去行われたVALORANT公式試合で、女性チームと男性チームが対戦したケースはいくらかありますので、その結果をさらっと紹介します。

 先に触れたZETA DIVISION GCは2023年にVCJ split2 Open Qualifier に出場しています。最初の方に触れた、性別制限のない公式大会の日本予選の予選です。この頃からZETA DIVISION GCは日本のGC部門ではほぼ負け無し、この時のロースターは後に日本女王となる5人での参戦となりました。ですが結果は0勝2敗でした。

 次にTEAM LIQUID BRASIL。2023年GC CHAMPIONSHIP2位に輝いた強豪チーム。2024年のVCB split1のOpen Qualifierに出場し、OQを抜けることはできましたが、次のClosed Qualifierは抜けることができませんでした。それでもOQ勝ち抜けられていることがすごいと思いますが。

 最後にG2 GOZEN。初代CHAMPIONSHIP女王に輝いたチームで、今年まで3年連続CHAMPIONSHIP出場の上、1回目から、優勝、三位、三位以上確定(書いている段階で)と、ロースターの変更がありながら凄まじい成績を残し続けている最強の一角です。2023年に出場したREDBULL HOMEGROUND EMEA予選では、Tier1チームのFUT ESPORT、TEAM Vitality、Tier2チームのFOCUSと対戦しました。いずれも男性チームです。結果は0勝3敗。VIT戦では0-13の大敗を喫することになりました。

 といった感じで、女性のみのチームが性別制限のない大会で大きな成績を残した記録は自分の知る限りないです。このことが既に男性と女性のeスポーツにおける性差を物語っているのではないかと僕は考えてます。特にプロシーンという、スキルも知識も煮詰まっている環境では性別による身体能力差が大きく影響するのではと。


◯ 個人的に思う「スポーツ観戦に感じる価値」

 このあとの話をする前に個人的に思うスポーツ観戦、またスポーツ自体に感じる価値を喋ってみます。この価値というのは大きく3つの要素「競技性」「興行性」「芸術性」に分かれます。

 「競技性」の価値はルールやシステムに感じる面白さ。プレイヤーに平等に与えられた規則の中でチームや選手がどのような戦略を取るのか、というゲームとしての奥深さを見る楽しみ。
 「興行性」の価値はエンターテイメントとしての試合の面白さ。白熱した試合だったり、スーパープレイの華やかさだったり。
 「芸術性」は人間の身体能力の限界を求める面白さ。人はどこまで高みに登れるのか知りたいというシンプルな知識欲。

 これらの価値は競技を性別で分ける意義にも関係します。

 ゲームルールは一定の身体能力を基準に設定されるもの(例えばバスケットボールのゴールの高さは多くの人が難しすぎず簡単すぎない高さにあるものだと思います。たまにいるめっちゃ背が高い人にとっては簡単かもしれませんが、それでも基準になっているのは「多くの人」の感覚だよねという話)だと思いますが、男女が一緒になっていると、この基準を上手く作るのが難しくなります。男性に有利すぎても、女性に有利すぎても良くない。ルール上の平等感を生み出すのは性別ごとの方に分けた方がやりやすい。だから男女で分けるほうが都合が良い。

 男女混合で100m走、これがエンタメとして魅力があるかというと微妙というか、面白くないですよね。男性が勝つだろうことは容易に想像がつくので。だから男女で分けるほうが都合が良い。

 人間の身体能力の限界を知りたいが、男女混合で考えると、男性の記録ばかりが目について女性の記録や努力が蔑ろにされてしまうかもしれないし、そもそも身体能力差があるものなのだから、男性と女性それぞれで限界を探るほうが理にかなっている。だから男女で分けるほうが都合が良い。

 こんな感じで自分としては、スポーツ観戦に感じる価値、スポーツ自体に感じる価値の観点から、スポーツ・競技では選手を生物学的性別で分けたほうがお得だろうと考えています。


◯ GC大会におけるスポーツとしての大会の価値

 今の話を踏まえて現状のGC、女性選手とトランスジェンダー選手が同じ大会に出れるルールの大会にどんな価値があるか、考えてみましょう…

 …

 すみません、ないです。

 ええ、自分は現状のGC CHAMPIONSHIPには「スポーツ」としての大会の価値はほぼないと考えています。

 上記の価値3本柱は全て生物学的性別で競技が分かれていることを条件としています。なぜなら身体能力の性差がある可能性があれば、競技性は損なわれ、興行性は失われ、芸術性が消滅するからです。

 実際あるかどうか、というのは問題じゃないです。可能性が1ミリでもあるのであれば、クリーンな競技観戦は不可能になります。

 価値3本柱の話を除いても、単純にトランスジェンダー選手が身体能力の点で女性よりも有利なのかも、と思いながらみるスポーツ、つまんないです。どんなスーパープレイ、偉いプレイ、感動的な勝利を見てもノイズになります。「トランスジェンダー選手が強いから勝ったんでしょ」「女性5人側がかわいそう」「トランスジェンダー選手がいるのに負けたの?」…

 スポーツ観戦をする視聴者の多くは(というと主語が大きいですが)無意識的にも平等だという前提でゲームを楽しみます。ここでいう平等は性差が一切ないということです。上記のようなノイズや平等性への疑問を抱えながらスポーツを観戦する経験なんてない人が多いんじゃないかと思います。

 トランスジェンダー選手含めた全ての選手に対してリスペクトを欠いたコメントをしている視聴者はそれは100悪いというのはそうとして、こういった心理的ノイズを無視しながら純粋な気持ちで、あるいは事情を飲み込みながら配慮をしつつ観戦ができる視聴者が果たしてどれだけいるのか。
 そんな高度でご都合主義のリテラシーを全ての視聴者に強いたうえで成り立つコミュニティが存在するとは思えないし、そんな未来はないんじゃないかと僕は考えてしまいます。



◯ 大会ルールが正義ではあるけれど

 トランスジェンダー選手が本当に身体能力の面で優れているのだとすれば、「2人までロースターに入れていい」というルールに則ってみーんな入れればいいじゃない、という話になるかもしれませんが、なんだかそれも差別的に感じてしまうのは僕だけでしょうかね。

 チームとして女性5人ロースターを選択したら、勝ちを狙ってない怠慢になるのか?トランスジェンダー選手を入れるために選ばれたトランスジェンダー選手の価値は選手本人の能力ではなくトランスジェンダーであることになるのではないのか?…

 RIOTが定めた大会ルールは参加チーム全てに平等に適応されています。だからこそ、各チームはチーム作りの段階から、大会に勝つための戦略を練るわけです。大会というのはそういうゲームです。どれだけフォーマットが悪く見えても、ルールに不平等感があっても運営が定めたルールが正義で、「今回の大会はそういうゲーム性なのね」と飲み込むべき話ではあります。

 でも、ルールに関係のないはずの大会理念「マイノリティのための~」という要素がこうしてルールに食い込んでしまっている現状はどうなのでしょう。ゲームルールに対してのアクションは損得勘定によって合理的に行われることがほとんどな訳ですが…。マイノリティ尊重の考え方が合理性の餌にされている感覚が否めません。



◯ 別に選手は悪くない

 最初に述べた通り、トランスジェンダー選手、というかトランスジェンダーの人間に対して貶めたい気持ちはこれっぽっちもないです。セクシャルマイノリティがそれだけで虐げられる世の中は勘弁だと思いますし、何なら僕もゲイだし。これは本心から思っていることです。

 選手においては誰だって努力しているし、苦労しているでしょう。ちょこちょこ見る「VCTに挑戦できないからGCに逃げてる」とかそれこそ想像で叩きたいだけの発言だと思います。普通にMIBRはマクロ上手かったからこそ大勝ちしているわけですしね。

 悪いのは、という話をするなら、大会の設計思想でしょう。スポーツというものの成り立ちを考えれば、競技は、生物学的性別によって厳密に区別されているべき、これが競技に対するリスペクトだと考えます。

 トランスジェンダーをはじめとしたセクシャルマイノリティを守るためのコミュニティを作ろうと本気で思案しているのなら、トランスジェンダー部門を作るべきでしょう。第三の性という表現をするなら、女性と部門を分けてしかるべしとも思いますが、予算だったりで難しいんだろうか。

 AIイラストとかにも思いますが、既に存在するコミュニティに異なものを無理やり持ち込もうとするからこんなトラブルが起きるんじゃないのかな。女性プレイヤーとトランスジェンダー選手をごちゃごちゃにするからルールも何もわからなくなってしまう。正直なところ、この大会が終わって、なんだかんだ誰も幸せにならないんじゃないか、という未来も想像できてしまいます。



◯ とはいえ選手がいいならOKです

 とまあ、ここまでごちゃごちゃ言ってきましたが、別に選手やチームが納得しているのならOKではあります。どうせ外野の一人が言っていることに過ぎませんからね。

 男性選手がトランスジェンダーといって無理やりGC大会で無双しようが、名誉とかプライドとか関係なく勝って稼ぐビジネスができればいいとかそういう思想があろうが大会参加者がみんな納得しているならそれも立派に競技になるわけですしね。

 スポーツとしての価値はないと断言しちゃった手前ですが、GC部門に好きなチームは色々あるので、普通に大会は見ますし、応援もします。誰が勝っても称賛を送ります。GC含め競技シーンが盛り上がってくれたら嬉しいです。

 ここ最近のRIOTの大会運営の手腕には少し不安がありますが、来年以降も良いVALOプロシーンが見られることに期待しています。


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