俺は100パーセントおじさん 第4話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】
※こちらの作品はnote公式様の創作大賞2023・イラストストーリー部門の投稿作になります。第1話は以下のリンクよりご覧ください。
本編
「どういうことですか!」
天野は思わず、学年主任に詰め寄っていた。
「どうもこうもないですよ。一身上の都合ということです」
それは絶対に、ありえなかった。あのあと天野は、美馬に触れる仕事はどんどん振ってほしい。多少は、助けになるかもしれないからと言った。美馬はそこで、
「人に頼るのは苦手ですが、手伝ってくれるならありがたいです。本当に助かります」
と話していたのだ。そんな彼が急に仕事を辞めるなど、ありえなかった。
「美馬先生の代理は天野先生、お願いします。まあ天野先生ならどうにかなるでしょう」
この話は打ちきりだといわんばかりに学年主任は言い、朝礼は終わった。
職員室のドアを開けると、制服姿のメイカが立っていた。
「学年主任の、誰だっけ、あの人が悪魔だから」
「え?」
「きょう決着をつけるよ。銃は持ってる?」
「え? 持ってるけど……」
おじさんになりたくないなら、それ使えるようにしてね。メイカは手短に言うと、ホームクラスに向かおうとする天野を引っ張ってずんずん進んでいった。その目の先には、学年主任がいた。
「あいつが悪魔なのか」
「そうっぽい」
「あいつは何をしようとしてるわけ?」
「それをこれから確かめるんだよ」
学年主任はずんずんと進み、階段を上がる。職員室は2階にあったので、2階から、3階、4階と上がっていく。学年主任は後ろを振り返ったが、なにかをする様子もなくそのまま歩を進めた。ついてこいということなのだろうか。
やがて、屋上に行き当たった。屋上は普段、生徒も職員も立ち入り禁止になっている。学年主任はスピードを緩めずドアにちかづく。そしてそのまま、ドアをすり抜けていった。
「あれは……」
「壊すね」
メイカはそう言って、ドアを蹴り飛ばした。
吹っ飛んだドアに、学年主任は待ち構えていたかのように指をさす
ドアは、空中で圧縮され、弾け飛んだ。
雲一つない快晴。
さわやかな空の下。
美馬は、一糸まとわぬ姿でパイク椅子に縛りつけられていた。
「やっときたか」
学年主任は、軽蔑するかのように笑いながら、言った。美馬の口には、なにやら得体のしれない紫色のものがまとわりついている。天野は美馬のもとに駆け寄ろうとする。だが、それは学年主任によって阻まれてしまう。
「お前、美馬先生は関係ないだろ!」
天野は全力を込めて怒鳴り声をあげる。
「お前らは、俺が目的なんだろ? だったら、俺だけで、いいだろ。美馬さんは、関係ないだろうが!」
「おじさんは、たくさんいるんだよ」
無感情に口を動かしたのは、メイカだった。
「天野さんは確かに悪魔界ではA級おじさんとして登録されている。でも、おじさんはこの世界には、いくらでもいるんだよ。そしてそこにいる人――」
「美馬さん!」
「……美馬さんは、特A級のおじさん」
「特A級?」
「要するに、天野さんより悪魔の力に耐えられるってこと」
メイカは、妙に落ち着いていた。風が吹いて、メイカの制服のスカートを揺らした。
「で、なに? 天野さんは用済みってこと?」
「そういうことになる」
学年主任は言った。
「俺はこいつでお前らを潰す。お前らは邪魔だからな」
「あっそ。無理だと思うけど」
「適当言ってろ」
学年主任は、指を鳴らして紫色の物体を消し去る。美馬は、まっすぐに自分を見やっていた。
「こいつはさあ、すげえんだよ」
「どんな悪意をぶつけても、全然壊れない。おもちゃには最適だ。ガキにあげたら、だいぶ喜ぶだろうな。そう思ってた」
学年主任は、美馬の椅子を横から蹴った。抵抗できない美馬は、そのまま地面に倒れこんだ。
「でもさあ、違うんだよな。ストレスが消えることなんか、ないんだよな。心の奥底に、どろどろ溜まってるんだ。それは……」
悪魔界を破壊するのに、ふさわしいものになる。学年主任は、顔の構造が変わるほど、顔を歪めて笑った。崩れた顔。地獄の底から響くような哄笑。そのおどろおどろしさに、天野の足は思わずすくんでしまった。
「また説教しなきゃいけないんだけどさあ」
天野は再び駆け出そうとするが、メイカはそれを制した。メイカの腕は、恐ろしく強い力で天野を引き戻した。
「今目の前にいるニンゲン、いるだろ? あれ、中身おっさんなんだよ」
美馬の顔が、ピクリと動いた。
意味わかるよな。あいつはおじさんだけど、美女の体を手に入れた。理由はわかるよな? それがいやだったからだ。あいつは、お前にないものを持っている。
耳に顔を近づけ、学年主任は容赦なく言葉を浴びせた。
お前、たぶん期待したよな? なんてきれいな人なんだろうって、お前があいつの担当になって、チャンスだと。仲良くなれるかもしれないと、そう思ったんだよな? きっともしかしたら、なんて、思ったんだよな?
そんなわけねえよな? あいつは、お前を笑いに来たんだ。
違う! 天野はそう叫ぶが、その声は学年主任が作った壁に阻まれ、動けない。
「なんとかできないのかよ!」
メイカは、微動だにせず事態を静観しているばかりだった。
あいつは生まれ変わった、人生をやり直す機会を得た。いいよな? 合コンなんか行きたくてもいけないよな? あいつはお前を誘わなかった。当たり前だけどな。お前の人生はもう、詰んでるからな? わかってるよな? あいつはな、まだ人生詰んでねえんだよ。これからなんだよ。だから、あいつはお前をあざ笑いに来たんだ。
美馬は呼吸を荒げ、顔を歪めていた。天野はそれを見て、崖に突き落とされたような気分になる。なんでそんなやつの意見に耳を貸すんだ。あなたはそんな人じゃないだろう。
あいつは、おじさんには価値がないと思ってる。お前、昨日普段見てる写真、見なかったよな? ぼくにはこれがあればとか言ってたけど? 嘘だよな?
美馬の体が、激しく揺れ始めていた。美馬は予備動作なしで、嘔吐した。体中の液体をすべてかきだすかのような勢いで、吐しゃ物を屋上にまき散らしていた。目は大きく飛び出し、赤く充血している。口から、赤黒い何かを、吐き出した。それは、肝臓だった。口から、肺、胃、腸、心臓、あらゆる臓器が、吐き出されていく。学年主任は、それを一つずつ、踏みにじっていった。美馬という男のすべてを、否定するように。
臓器という臓器を吐き出し、もう何も吐くものが残っていないはずの美馬の口から、紫色の液体が吐き出された。直後、美馬の体が激しく痙攣して、体全体が紫色に染め上げられていく。
あいつが言っていたことを教えてやる。
もう、おじさんにはなりたくない。
おじさんは、美しくない。
お前みたいな人間は、惨めに死ぬのがふさわしい、ってわけ。
美馬は、絶叫した。
この世のものとは言えない憎悪。
これまで生きてきて、ためにためこんできた苛立ち。
蓋をしてきたものすべてが、逆流し、ほとばしっていく。
紫色のぶよぶよした物体に、美馬は包まれていた。それはむくむくと巨大化し、屋上全体を飲み込んでいく。メイカは指を鳴らし、天野とともに屋上からワープした。
屋上のかつて美馬だった物体は、表面に時折泡を覗かせながら、ついには屋上からはみ出すサイズに成長する。学年主任は、そのぶよぶよを蹴って、地上へ落とした。
学校の四階。
地上に墜落する美馬。それを窓から呆然と眺める天野。
美馬の顔が、ぬめった物体からおどろおどろしく現れ、なにかを発する。
ふざけるな。そう言っているように思えてならなかった。
紫のぶよぶよは爆発し、弾け飛ぶ。
地上に降り立ったのは、一糸まとわぬ姿で巨大化した美馬の姿だった。
巨大、全裸、中年、男性。
それは、この世の災厄の象徴。
天野は、廊下のガラスをあけ、メイカから託された銃弾を美馬に向かって放つ。銃弾は、美馬の背中にぶつかる。だが、何も起こらない。美馬は野獣のような咆哮をあげ、こちらを振り向く。
そこに、あの柔和な笑顔はなかった。
破壊と蹂躙。
殺戮と虐殺。
意志をなくした肉機械としての、呪われたおじさん。
おじさんが至る、負の方向への最終形態。
この世の絶望をすべて詰めて押し付けたような、憎悪と諦念に満ちていた。
視界が一瞬で暗転する。そこは、再び屋上だった。学年主任は高らかに笑っていた。さっきまでいた校舎のほとんどが、えぐれていた。そこは、長谷川やほかの教師、そして生徒がいつも通りの日常を送っていたはずの空間だった。
「殺した……のか?」
巨大化した美馬は、破壊の限りを尽くしている。
ビルは簡単に引っこ抜かれた。鉄橋は叩き折られた。逃げ惑う人々は、虫をつぶすかのように踏みつぶされた。発電所は爆破され、町全体が火の海に包まれた。ほどなくして、自衛隊の戦闘機が飛んできた。巨大全裸中年男性を、戦闘機は容赦なく爆撃する。だが、美馬の体に傷一つつけることすらできない。それどころか、受け止めた銃弾をすべて、何倍もの勢いではじき返してくる。
反射弾をもろに受けた戦闘機は、煙を上げて墜落した。それが家々に落ち、火の手がさらに広がっていく。美馬は執拗に、動いているものを狙っている。その動きを止めることに快楽を見出しているかのように、生きているものすべてが許せないかのように、容赦なく、その命を刈り取ろうとしている。
美馬は、壊れてしまった。
「天野とか言ったな」
学年主任は勝利を確信した様子で言った。
「お前のお友達だっていうなら、止めてやれよ」
お前が勝てるならな。学年主任は、そう言って裂け目の中に消えた。
天野は再び、屋上のへりに駆け寄り、狙いを定めて銃を放つ。だが、無意味。天野の気配に気づいた美馬は、道路に放置されたトラックを手に取ると、掌で丸くスクラップにして、こちらに投げつけてきた。真正面からの一撃を交わし、天野は転倒する。パンプスは脱ぎ去り、ストッキングは破れた。赤黒い血が、白衣にこびりついた。
左足をかばいながら、逃げるように屋上を去る。メイカの存在は、頭の外に追いやられていた。
どうしようも、できない。
勝てるはずが、ない。
4階に降りて、空いていた教室に呼吸を荒げて入り込んだ。
そこは、嘘のように静かだった。日常が完全に崩壊し、地獄と化した空間。それが幻だと錯覚したくなるくらいに、教室はしんと静まり返っている。黒板に背をもたれかけ、荒い息を整える。そして震える手で、銃弾を込めようとする。極度の震えで、弾を込める簡単な動作すらままならない。
パニックになりかけの脳内で、天野は思う。
おじさんに、なるしかない。
おじさんになって、おじさんを止める。
美女じゃ、どうにもならない。
戦いにおいて、ビジュの良さなど、何の意味も、ない。
今だけは。もう一度言う。今だけは。
俺は、おじさんになりたい。いや、ならなければならない。
「ね、だから言ったでしょ」
目の前に現れたのは、メイカだった。
この地獄には似つかない、妖艶な笑みだった。
「お前、なんなんだよ!」
知った風な口をきくな。
人が死んでるんだぞ、と天野は思う。
「約束する。全部なんとかする」
メイカは、自信ありげに断言した。
「あなたがおじさんになるなら、勝てるよ」
天野の額から、一筋の汗がこぼれる。
……勝てるのか?
「そうだよ、勝てる。絶対に。
あなたは100パーセントおじさんにならないといけない。そうなれば、本来のおじさんとしての力を開放できる。完成したおじさんになる」
でも、そうなったら、契約違反だね。メイカは言った。
「もしそうするなら、もう商品を使わないってことになる。だからそしたら、あなたはもう美女にはなれない。一生、おじさんのまま。100パーセントってことは、おじさんに戻るってことだからね」
どうするの? 頬杖をついて、メイカは悪魔のような二者択一を問いかけた。
「おじさんになるか、美女になるか、どっち?」
深い静寂。
だが、迷いはなかった。
「なる。俺は、おじさんに、なるよ。完璧な、おじさんに」
笑みを浮かべ、メイカは指を鳴らした。そのまま、窓に向かって走り出す。窓の外では、凄惨な虐殺。ここにいれば、死なずに済むかもしれない。
だが、違うのだ。
そうではないのだ。
美しければいいと思っていた。美しくなければ、ならないと思っていた。
それはある面では正しい。
だが、本当は違うのだ。
すべてが、美しいのだ。
たとえ、忌み嫌われるものであったとしても。
誇りを持ちえないものだったとしても。
美しくあり続けようと願わなければ、俺たちは、美しくなれないのだ。
天野は窓ガラスをぶち割り、体を宙に投げた。
右腕、左腕。右足。左足。肝臓、肺、胃、腸、心臓、胴体。そして、いつもの憂鬱な顔。
おじさんが、体に集まっていく。
おじさんが、自分のすべてを満たしていく。
ああ、そうか。
天野は、そこで、初めて気づくのだ。
やはりおじさんは、100パーセントよく馴染む。
そしてその背中からは、純白の翼が生えた。
まるで天使のように、それは神々しく輝いた。
「美馬さん!!!」
光の塊と化した天野は、美馬に向かって突進する。美馬の無軌道な攻撃を、翼を動かしギリギリのところでかわしていく。光の束が、巨大全裸中年男性を覆っていた。
美馬の拳が、天野に衝突する。
バランスを崩したのは、美馬だった。
かつてないほど激高した美馬は、ありとあらゆるものをひねりながら、天野に投げつけていく。ビル、森、ガス、新幹線、山々、二人のおじさんは、列島全体を縦断する。天野は、美馬から致命傷を受けることを避けながら、的確に、美馬の体にダメージを与えていく。飽きぬほどに、殴り続ける。
髪は生えない。だが、翼は生える。
それが、俺たちおじさんなのだ。
闇のおじさんと、光のおじさん。かつて世界は二つのおじさんに覆われていた。彼らは、もとは一人のおじさんだった。だがあるとき、二つに分かれた。それが善悪の誕生だった。
闇のおじさんは悪、光のおじさんは善を司る。
だから、美馬は俺自身なのだ。
誰もが美馬になりうる。でも、その連鎖は、どこかで止めなければならない。
すべてのおじさんは、圧倒的に、ほれぼれするほど、美しい。
光は、巨大全裸中年男性としての美馬を包み込んでいた。天野が描いた光の軌道は、何度も何度も美馬を囲み、美馬の周囲は、虹色に輝く帯で包まれていた。美馬の足取りは、次第に遅くなっていく。美馬の腹に、天野は、気が遠くなるほど殴り続けた、それまでと同じ1発をぶつける。
その一発で、美馬は、再び紫色の物体を吐き出した。
その目から、涙が浮かんでいた。
もう殺してくれと、呟いていた。
そういうわけにはいかない。
俺たちは、また約束された場所、たとえば、居酒屋だったり、どちらかのぼろい家だったり、もしくは、また、あの学校だったり。今度は、おじさんとして、互いに向き合わなければならないのだ。
光の幕を突き抜け、天高く飛翔する。
地球の大気全体を、自分の体に、ぶつける。その反動で、再び空に、降りる。
その瞬間、おじさんは光を超える。
今、天野は120パーセントのおじさんとして、完成した。
空に映るのは、飛翔するおじさん。
おじさんの姿は、空にホログラムのように映し出される。
おじさんは束となる。
おじさんは、別のおじさんにとっての、希望となる。
俺は100パーセント、おじさんだ。
そうして静かに、巨大全裸中年男性を撃ち抜いた。
あの紫のどろどろが美馬から噴き出る。膿のようなそれを、天野は宇宙に向かって、放り投げた。
★
翼を折り、天野はゆっくりと地上に降り立った。町は、惨憺たる有様だった。思わず目を、そむけたくなる。
メイカは、いつの間にか学年主任を捕らえていた。
「ざあこ♡ ざあこ♡ ざあこ♡ ざあこ♡ ざあこ♡ ざあこ♡ ざあこ♡ ざあこ♡ ざあこ♡ ざあこ♡ ざあこ♡ ざあこ♡ ざあこ♡ ざあこ♡ ざあこ♡」
嘘だろ。メスガキみたいな煽りで魔を滅している……。学年主任は、うめき声すらあげず、魔力を失ってしおしおになっていく。そのまま、学年主任は、粉になってしまった。
あっけなすぎる、決着だった。
「すごいね、おめでとう!」
「美馬さんはどうなるんだ?」
街は? これ全部どうにかなるのか? あふれる疑問は止まらない。メイカはそれを、まあまあと押しとどめた。
「わたしこれでも強い悪魔だから、どうにかできるよ」
えっへんとどや顔をするメイカ。その顔のまま、メイカは言った。
「で、どうにかはするんだけど、その翼あるじゃん」
「ああ、これ?」
「それ、おじさんの一部じゃないんだよ」
「あ、そうなんだ」
「うん、そうそう。というか。わたしの力。」
「ふーん、え、ほんとか?」
どうみても天使のものに見えるが、と翼をふりふりする天野は思う。
「わたしのレベルだとそうなんの! だからそれ、引っこ抜いていいよね? おじさんのものは返さなきゃだけど、それはわたしのだから!」
よくわからなかったが、翼が生えていたらおじさんとしての生活に支障が出る。メイカに背中を見せると、彼女は根元から、その翼を引っこ抜いた。
「任務完了」
メイカは天野が聞き取れない小声で、そういった。そのとき見せた顔は、悪魔の本性。そのものだった。人間はみた瞬間、正気を失うものだったが、天野はメイカの言う通りにしていたので、メイカから滲む瘴気には一切気づかなかった。メイカはその翼をぐしゃぐしゃにすると、指を鳴らして作った裂け目の中に放り込んだ。
「おわり!」
天野が振り向くと、メイカはもとのJKの姿に戻っていた。
「じゃあ、契約は終わりね。あと少ししたら、わたしのことは忘れると思うから。あと、美馬さんとかも全部何とかなるからよろしく。バイバーイ」
そっけなく言って、メイカは去っていった。あまりにもあっさりとした別れだった。
天野は自分の体を眺めまわす。
相変わらず、ダサい体だった。何の魅力もない、しょうもない体。
なにも美しくない、この体。
それでも、美しくあろうと、するしかないのだろう。
美馬さんに、会いたいと思った。今の自分が、ちゃんと話すことができるかどうか、わからない。拒絶されるかもしれない。
でも、もし。
いぶりがっこを食べて、楽しく飲むことができたら。
それはとても、美しい瞬間になるはずだった。
(完。お読みいただきありがとうございました)
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