世界
蜘蛛の糸も垂れていないのに
群がる人
腕を取られ足を引かれ背中を踏み合う人
少しだけ遠いところから
私は見ている
群がるうちの一人が私と目が合った
それはとても鈍く光る眼で
「スカして狡い」とねめつけた
群がるうちの誰かが指先を私に向ける
「あいつを幸せにしてはいけない」
折り重なる人の群れは私になだれ込み
私は腕を取られ足を引かれ背中を踏まれ続け
最下層の一部になって化石になる
自我の押し付け合いになって
優しい言葉で地獄に落ちろと言ってくる人
自分の地獄から出られないことを
誰かのせいにし続けて
天国に行けないと信じ込んでいる
私は知らない
地獄も天国も
今いる世界が全てだろうに
死んだらそこがどこだか教えてあげるよ
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