Yukiko Yamada

(Photo) Haikuist, born and brought up in Yo…

Yukiko Yamada

(Photo) Haikuist, born and brought up in Yokohama, Japan. 海棠俳句会&国際俳句協会 会員

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  • 句集を読む

    句集を読み、収録句の中から印象に残った句を何句かpick upさせて頂いています。

最近の記事

世界に一冊だけの本・展

世界に一冊だけの本・展 2024年10月24日(木)~30日(水) at 函館コミュニティプラザGスクエア 10月31日(木)~11月4日(月) at  函館市地域交流まちづくりセンター この作品展に「(写真)俳句集:Haiku Moment in DOTO」を出品しています。 今年は「ぷらふぇす2024に同タイトルのA4サイズ1枚の折本を出しましたが、今回の作品はこの折本をベースに収録句を再度全面的に見直し、追加・差し替え・再構成して、一折り中綴じのA6サイズ冊子にしま

    • 本のアトリエEIKO・AMU合同作品展『美しい手製本の世界展』

      製本家・中尾エイコ先生&中尾あむ先生の教室作品展が今年も10月18日(金)~20日(日)の3日間、大阪のアトリエEIKOで開催されます。 今年の私の出品作品3点のうち、2点は一折りのZINEや折本を何冊かまとめて綴じておくためのファイルのような本です。後から追加や差し替えがあることが前提なので、糸を切れば綴じ直せるクリスクロスバインディングにしました。大きな方にはA6サイズの一折り中綴じZINE、小さな方は今までに「ぷらふぇす」で発表したA4サイズの紙1枚から作る8ページ折

      • 句集を読む:『八十路』

        『八十路』村越化石 2007角川書店 著者は大正11年静岡県生まれ、平成26年没。本書は著者の第八句集 [章立て] 桜餅 平成15年 青嵐 平成16年 花野 平成17年 飛雪 平成18年 朧夜 平成19年 [好きな句15句] 凍む国に生きる力を浅間山 菜の花の上を越え来る子らの声 ふるさとの葉付きみかんと年迎ふ ともに生きともに八十路や初笑ひ 同居せる強気と弱気寒の入 人の世の端に居座る蟇 鳥帰る帰る故郷ありてこそ 蓑虫や天に昇らず地に墜ちず 両膝に幸せ集め日向ぼこ 冬ご

        • (写真)俳句集:Haiku Moment in DOTO

          A4サイズの紙の祭典「ぺらふぇす2024」参加作品 2020年7月から2021年10月まで釧路に住んでいました。この間に北海道・道東地域で詠んだ(写真)俳句31句を収録しています。 収録句の中から英語写真俳句を1句。

        世界に一冊だけの本・展

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          30本

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          句集を読む:『氷湖いま』

          『氷湖いま』鈴木総史 2024ふらんす堂 著者は1996年東京生まれ、本書は著者の第1句集、全272句 [章立て] 一章 火に飢ゑて 二章 ぬるき葡萄 三章 夏瘦の指 四章 楽譜 五章 塔の全貌 六章 こゑ満ちて [好きな句 15句] 氷湖いま雪のさざなみ立ちにけり 地吹雪のなか詩にならず死にきれず 鮭のぼる故郷の川をうたがはず 返信はなし壺焼を待つあひだ ワイパーの拭ひきれない霜の花 短日の家まで着かぬバスばかり 終電の手すりつめたき聖夜かな 常闇の湖しか知らぬ氷下魚か

          句集を読む:『氷湖いま』

          句集を読む:『月と書く』

          『月と書く』 池田澄子 2023朔出版 著者は1936年鎌倉生まれ。本書は著者の第8句集。 [章立て] 朋 露 光 水 星 霧 蝶 [好きな句10句] 大空を区切るすべなく敗戦日 どの家も遺影は微笑ささめ雪 万両や実の鈴生りに日々耐えて 冬木の芽さぞやこの世の怖からん 鶏病めば急ぎ殺して人の春 御降りや遺言書くには字が下手で 鶯かスンとも声を出さず去る 寝て覚めて此の世暑くて寝返りぬ 春寒き街を焼くとは人を焼く 蝶よ川の向こうの蝶は邪魔ですか

          句集を読む:『月と書く』

          (写真)俳句集:改訂版 Haiku Moment in Fukushima

          ぺらふぇす2024開催に合わせ、昨年のぺらふぇす参加作品を #野生のぺらっと として再配信致しました。再配信に際して内容を見直し、俳句34句&写真俳句8句の句集となりました。 収録句の中から写真俳句2句を…。

          (写真)俳句集:改訂版 Haiku Moment in Fukushima

          写真俳句集:Encounter

          「ぺらふぇす2023秋」参加作品 (#野生のぺらっと) オリジナルは、昨年、本のアトリエEIKO・AMU合同作品展『美しい手製本の世界展』(大阪)に手製本作品として出品した写真俳句集。収録句を一部差し替えた上で、A4サイズの紙1枚のデータに再構成しました。表紙として使用した写真がオリジナル本です。 ※PDFダウンロード期間は終了しました。 写真俳句を作り始めた頃の作品を中心に15句収録しています。 収録句の中から2句を…。

          写真俳句集:Encounter

          ぺらふぇす2023秋に参加します

          2023年11月23日~27日ぺらふぇす2023秋に参加致します。 A4サイズ1枚の紙で作る…どんな内容にしようかと考えました。 先月、本のアトリエEIKO・AMU合同作品展『美しい手製本の世界展』(大阪)に、はがきサイズの和綴じ本を出品していました。 中身は今年の夏まで1年9ヶ月ほど住んでいた福島県で撮影した写真に写真俳句を少し。"Four Seasons in Fukushima" と題したこの本はどちらかというと「写真集」ですが、今回は「句集」にしようと思いました。 福

          ぺらふぇす2023秋に参加します

          句集を読む:『海図』

          『海図』 佐藤郁良 2007ふらんす堂 著者は昭和43年東京生まれ、「銀化」副編集長。本書は著者の第1句集、第31回俳人協会新人賞受賞作。 [章立て] 調律師 海図 点景 最後の客 手話と劇薬 花野の駅 設計図 [好きな句 15句] 梅が香や禅寺の門閉ざされし いくたびもポストを覗く花の雨 短日や窓に母待つ子の指紋 そんなには生きまい四万六千日 書初の手に遺伝子の流れをり 新雪へ踏み込む悔いに似たるもの 大寒をせつせと蒸かす中華街 風鈴の乱れて誰か来る予感 揚げたてのコロ

          句集を読む:『海図』

          句集を読む:『人類の午後』

          『人類の午後』 堀田季何 2021邑書林 著者は「楽園」主宰。本書は第72回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞作 [章立て] 前奏 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 後奏 [好きな句20句] 本書の漢字表記は基本的に正字・旧字だが、以下の列記では原則として新字体を使用している。 戦争と戦争の間の朧かな 鳥渡るなり戦場のあかるさへ ぐちよぐちよにふつとぶからだこぞことし 自爆せし直前仔猫撫でてゐし 花疲するほどもなし瓦礫道 花の樹を抱くどちらが先に死ぬ 花降るや死の灰ほどのしづけさに 懇ろにウラン

          句集を読む:『人類の午後』

          句集を読む:『天球儀』

          『天球儀』 春日石疼 2019朔出版  著者は昭和29年大阪生まれ、昭和57年より福島市在住、医師。「小熊座」同人。 [章立て] Ⅰ月光の檻 平成10~20年 Ⅱ未完の驟雨 平成20~26年 Ⅲ鳥の道 平成26~30年 [好きな句12句] 鳥雲に地図から消えし生地の名 杖百本齢千年滝桜 さざなみの畦より生まれ畦に消ゆ 花野踏む間も幼子に死は育つ 地下街をつなぐ地下街寒の入 原発爆発映像医院待合冴返る 廃炉まで蛍いくたび死にかはる 動くものをらぬ帰宅や冬燈 進化とは遺失のひ

          句集を読む:『天球儀』

          句集を読む:『むかごの貌』

          『むかごの貌』 小谷迪靖 2023ふらんす堂 著者は1939年東京生まれ。「海棠」同人、本書は著者の第2句集。 [章立て] 氷頭膾 2017年 皮蛋 2018年 九絵 2019年 定家煮 2020年 漉油 2021年~2022年2月 [好きな句10句] 鱈づくし先づお澄ましの白子から 留守電に在りし日の声冬桜 とは言へどバレンタインのチョコレート 登りきて投入堂の涼しさに 余生いましをりのやうに吾亦紅 ひとつとて同じ貌なきむかごかな 負け牛をさすりゐる勢子隠岐の秋 人の死

          句集を読む:『むかごの貌』

          句集を読む:『思ってます』

          『思ってます』 池田澄子 2016ふらんす堂 著者は1936年鎌倉生まれ。本書は著者の第6句集。 [章立て] 思ってます ひとりのとき 居る あーだーこーだ 此処 ともしび 幸いなれ [好きな句7句] 春寒の灯を消す思ってます思ってます 花は葉にそれとも花はなかったか 入ってはならない村も此処も雪 津波以前此処に家々人々東風 夜は雪になるかそれとも誰か死ぬか 朝晩の寒さを嘆く元気かな 仏壇のメロンを今日も押して嗅ぐ

          句集を読む:『思ってます』

          句集を読む:『拝復』

          『拝復』 池田澄子 2011ふらんす堂 著者は1936年鎌倉生まれ。本書は著者の第5句集。 [章立て] Ⅰ  Ⅱ  Ⅲ  Ⅳ  Ⅴ  [好きな句5句] 鰻重を奮発させるに異存なし 前兆は過去にのみあり実千両 いつか死ぬ必ず春が来るように 暖房や延期をすると老けてしまう 気が済んだらしや雲雀の落ちきたる

          句集を読む:『拝復』

          句集を読む:『此処』

          『此処』 池田澄子 2020朔出版 著者は1936年鎌倉生まれ。本書は著者の第7句集、全380句。第72回読売文学賞詩歌俳句賞受賞作。 [章立て] 体 何処 この道 ときどき どの道 中有 次 此処 [好きな句15句] 初蝶来今年も音をたてずに来 三月十一日米は研いできた 数の子の薄皮ほどの自愛かな 天高く柱枯れ立つ日本丸 出来かけのゼリー何回揺すられる 無花果や自愛せよとは何せよと たいがいのことはひとごと秋の風 雑煮用鶏を解凍しつつ寝る 三月寒し行ったこともなくもう無

          句集を読む:『此処』