視聴者投稿実話怪談『深夜3時の帰路で』
これは、私の怪談を扱う配信に、視聴者の方より投稿されたお話です。
今から10年ほど前、当時は高校を卒業後T社のグループ会社の自動車製造ラインのラインマンとして働き始めた頃の話です。
二交代制勤務で週替わりで早番と遅番がありました。
遅番の日は就業時間が深夜2時頃で、自転車で実家まで1時間ほどの道のりを帰宅していた時に体験した話をさせてもらいます。
深夜3時くらいだったと思いますが、実家の近くは都市部ではあるものの地主の関係で畑や水田や森林が多く残り、街灯もまばらの暗い場所でいつも虫の声や蛙の声で夜はうるさいくらいなのですが、その日は不思議なほど静かでした。
なんだか普段と違う、そんな風にある道に入った時に感じたのです。
その道は、道なりにそのまま進めは実家に繋がる道で、道路を挟み左手は畑や水田で真っ暗で右手側に住宅地や街灯がある道。
深夜3時にもなると車等はほぼ通らないので、いつものように道路をたらたら走りながら静かな道を帰っていると、真っ直ぐな道の街灯の下に人影が見えました。
目を凝らすと腰の曲ったお婆さんがゆっくり歩いていて、こんなに時間に人が歩いているなんて珍しいなぁと思いながら近づいて行くと、これはダメだ人じゃない、そう思いました。
ガードレールで隠れていたお婆さんの右側に、お婆さんと手を繋いで歩く女の子の姿があったのです。
幼稚園の帽子を被り、幼稚園の服を着た女の子と手を繋いで歩くお婆さん、どう考えてもあり得ない目の前の景色に引き返そうと思いましたがそれも怖く、意を決して追い抜く事にしました。
せーのっでスピードを速め追い抜いた時、ふと思い振り返ってみたら、暗い顔をしたお婆さんと、お婆さんを心配そうに見つめる女の子の姿がありました。
振り向いたら居なくなっていた、そんな事を期待していた僕はたまらず怖くなり、大急ぎで帰り風呂にも入らず布団に逃げ込み寝てしまいました。
日も高くなり目が覚め、風呂でもと起き上がり向かうと、廊下で母と会いその場であのお婆さんと女の子の話をしました。
すると母はギョッとした顔をしたあと「あんた知らなかったっけ?」と聞いて来ました、その後母の話を聞いて僕もゾッとしました、と言うのも
数ヶ月前に実家から10分ほどにある幼稚園で、迎えに来たお婆さんと園児が幼稚園の目の前の横断歩道で、よそ見した車に手を繋いだまま轢かれ亡くなる事故があったそうです。
幼稚園の目の前で、お迎えの時間と言うこともあり辺りは騒然としたそうで、あっという間に話がひろまったそうです。
僕が見たあのお婆さんと女の子はその2人なのでしょう。
当時もしこの深夜に見た話が近所で広がり遺族の方の耳に入ったらと思うと、あまりにも辛い気持ちにさせてしまうと思い僕と母だけの胸にしまいました。
あの心配そうに見上げていた女の子は、後悔に苛まれたお婆さんを思って寄り添っていたのか。
それとも後悔の念でお婆さんが手を離せないでいるのか、また別の理由があるのか。
今は実家を離れてますが、あの2人が成仏し彷徨い歩いていない事を祈るばかりです。
ペンネーム:ゆうた
2025/2/8配信 https://youtube.com/live/_z-ZfzzzkHs?feature=share
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