帰ってきた排気口の『差し入れあぐねている人のための差し入れ入門』
差し入れ。それはミニスカートそれはプラネタリウムそれはヨハン・シュトラウスそれはピカソそれはアルプス。と、谷川俊太郎が詠ったかはさておいて、差し入れそれはかくも勇敢な行為なのである。人は一生に一度は差し入れを夢見ている。凍えるような孤独な夜に、憂鬱と闘う曇り空の朝に、全てを投げ出してしまいそうな昼にも。
15日から始まる排気口新作公演『暗愁行尸』では差し入れを解禁している。そして・・・。あの伝説の差し入れ王が処刑された。それから時代が変わった。「栄養ドリンク・お菓子・劇場近くで買える軽食、あらゆる差し入れをそこに置いて来た」彼は処刑台の上で不敵に笑いそして「欲しけりゃくれてやる、差し入れの全てをそこに置いて来た」世は大差し入れ時代を迎えたのである。
しかし差し入れにはいくつもの注意点がある。それを留意しないと哀しい思いをしてしまうかもしれない。そんなの絶対にダメだ。今回は差し入れあぐねている人のための差し入れ入門と題して、誰しもが愉快に差し入れ出来る様な指南になっている。是非とも参考にして欲しい。
という訳で久しぶりにやってきた『差し入れあぐねている人のための差し入れ入門』今回はホラー演劇という事もあって生きてる者も死んでる者も、この世の者もあの世のものも、みんな差し入れをしちゃおう!!
1・まずは注意点を確認しよう。
生モノは絶対にダメだ。生モノは絶対にダメなんだ。もし間違えて買ってきちゃってもダメなものはダメなんだ。断固受け取り拒否となります。手作りの物もダメ。生菓子もダメ。お店で売ってようがダメ。ダメなものはダメ。明日世界が滅びるとしてもダメ。圧倒的にダメ。夏だから!!
また、ぬいぐるみもダメ。ぬいぐるみを大切にしないのもダメ。1人の人間が可愛がれるぬいぐるみは5人が限度。ぬいぐるみは小さい命。命を差し入れするようなんてダメ。
全ての危険物もダメ。なにが危険物でなにが危険物じゃないかそのぐらい分かる貴方でいて下さい。
2・手順を確認しよう。
まず差し入れは受付でのみ受け取ります。出演者に直接手渡しは出来ません。わがまま言わないで下さい。受付で持ってきた差し入れをスタッフの人に渡してください。その際に「○○さんへ」と言って頂ければその方に終演後スタッフが中身を確認した上でお渡しします。中身確認されるのが嫌な方は、もうその時点で自分の差し入れに自信を持ってない証拠なので新世界にはいけません。せめて見聞色の覇気を身に着けてから差し入れしてください。手順はシンプル。受付のスタッフに渡そう。それだけ。それ以外の差し入れは受け付けません。オセロ並みにシンプル。
3・デモンストレーションしてみよう。
さて注意点、手順を踏まえてデモンストレーションをしてみよう。
悪い例・「排気口新作公演『暗愁行尸』を予約してる〇〇です、これ出演者のポコチン太郎さんに差し入れです」※いない出演者に差し入れは出来ません。
良い例・「排気口新作公演『暗愁行尸』を予約してる〇〇です、Takaのバースデイで知り合って女の子もアテンドした事もある菊地穂波さんに差し入れです」※ドバイから来てくれるなんて最高だね。
悪い例・「排気口新作公演『暗愁行尸』を予約してる〇〇です、出演者の中で大きくて優しい力持ちに差し入れです」※漠然とした事を言わないで下さい。
良い例・「排気口新作公演『暗愁行尸』を予約してる〇〇です、これウシジマ社長から菊地穂波さんに差し入れです」※留置所まで来てくれてありがとう。あと追加で10万貸して下さい。
悪い例・「排気口新作公演『暗愁行尸』を予約してる〇〇です、差し入れって貴方の感想ですよね?なんかそーゆうデータってあるんですか?差し入れ?なんすかソレ?ベーシックインカム導入した方がいいと思います」※論破しないで下さい。
良い例・「野菜は美味しいから食べるの!!!!」※その通り!!
4・おススメの差し入れってなんだろう?
さて、ここが1番重要。今までなら「ハイライトメンソール」と「ヘパリーゼ」が排気口差し入れ2大巨頭もとい2大巨頭オだったのですが、私が煙草をやめたので(もうすぐ1年になります)「ハイライトメンソール」を差し入れされても困ってしまいます。ちなみに、他の排気口メンバーは依然として喫煙者です。中村・アキラがハイライトメンソール、坂本がアメリカンスピリッツの黄色です。彼らに煙草を差し入れするときはその銘柄が喜ばれます。煙草をいらない私の新しい差し入れのリーダーズは「焼酎」です。もう日本酒が呑めない。焼酎大好き。それか「泡盛」それか「テキーラ」これで決まりです。
5・最後に
本当の差し入れは観に来てくれる貴方です。もう貴方が元気でいればそれだけでいい。他には何もいらない。劇場で会いましょう。
皆さんの穏やかさを祈って。劇場から出ればもう怖くありません。
「差し入れを。もし、これが永遠の別れなら、永遠に、差し入れを。」