真夜中という理由だけで暗くなるような部屋に真夜中という理由だけで眩しい君がいて。
連日ヘロヘロで目の下の隈がすごい事になっている。台本もまだまだ鋭意難航中。前回の王子も台本作業が遅れに遅れてしまったが、今回はホラーという事もあって、とても大変だ。目の痛みと頭痛と足の怠さと闘いながら永遠に終わらないようなマラソンをしているみたいだ。腰痛は無し。肩こりも無し。
怖いってなんだろう。ホラーってなんだろう。例えば貴方が怯える事ってなんだろう。そんな事を考えている。
どうして私たちは暗がりよりも明るい道を選ぶのだろう。
暗がりの怖いばかりを集めて、私はお昼も夕暮れも、それから、朝も忘れてしまった。夜ばかり。真夜中ばかり。
もうずいぶん明るい想像みたいな事をしてない。鬱ということじゃなくてね。アイスクリームをダブルにしようかな?とか、目の前の人のお洋服すごく素敵だなとか、見上げた雲の形が友人の顔にみえるなとか、音のしない開けた場所で青と緑の境界線をさがすとか。そんな類の想像力。
パソコンのディスプレイが放つ光だけがたった唯一の部屋で私はずっと台本を書いている。怖い台詞。怖い物語。怖い想像力。そうやって出来上がった仄暗い塊。
今、私の作業机には5冊の怖い話が沢山収録されている本があって、床には20冊ぐらいの怖い本が散らばっている。仄暗い塊に囲まれている。囲まれながら私はまたこの世に新しい仄暗い塊を作り出そうとしている。それがどんなささいなものであれ、貴方の穏やかさと不穏さになれば。それ以上の歓びはない。
最後に短歌を。「今年の夏は 熱中症なめてかかるってきめたんだ 俺たち 私たち 粉ポカリ捨てる」
鏡の自分が自分じゃないみたい。目の周りが真っ黒。それが真夜中みたいな暗さになったら、台本は完成していて、私はいない。どこにも。
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予約は真夜中に。明るい時の予約は見つかっちゃう。幽霊に。