APOCシアター『APOFES2025』新作一人芝居『今日までわたしにあった美しいものたち座』について。
2月1日(土)と2月9日(日)に公演される私が作・演を務める一人芝居『今日までわたしにあった美しいものたち座』の稽古が続いている。来週からは3月に公演する排気口新作公演の稽古も始まる。何度でも言いたい。無常息災。病気もケガも無いように。出来るだけ穏やかで、欲を言えばくだらなく、積み重ねる弱い愛の魔法ならぬ、積み重ねる日々の健康。
『今日までわたしにあった美しいものたち座』は勿論新作で、私が七転八倒してまだ微かに暖かかった去年の11月に書いた。
役者になる夢を抱き続けたレミコ(いつも使ってしまう役名)という特殊詐欺師の短い半生を描く『今日までわたしにあった美しいものたち座』は、しかし特殊詐欺の是非を問うたり、社会的なものがテーマではない。私が書こうとしたのは良いと悪いではない、それらが混ざった素晴らしい時間の数々だ。誰かのたった一言褒められた事が私の人生を大きく変えてしまう様な時間、苦労を苦労と思わずに楽しんだ時間、誰かに搾取され消費されながらも笑ってやり過ごす時間、加害と被害の不明瞭さに直面する時間、誰かを待つ穏やかな時間。ここじゃないどこかを願う時間。
自分の中に流れる多くの時間。それらが一つ一つ輝く様な星の様で、それを結ぶと私という星座になるのではないか。そんな事を思って『今日までわたしにあった美しいものたち座』というタイトルを付けた。
今日は劇場まで赴いてテクリハを終えた。劇場もめちゃくちゃ素晴らしい所だった。初めて行ったのだがとても感動してしまった。このような場所で一人芝居のフェスが開かれるというのはとても素晴らしい事だと思った。主宰の方々は勿論本当に大変だとは思うのだが、私たちは素晴らしい作品で応えるしかない。
一人芝居とはその名前の通り役者が一人で演じる。しかしその一人は多くの可能性を描く事の出来る一人だ。
その可能性の中には貴方が振り向かなかった方の風景がある。心から欲しかったけどとうとう誰からも貰えなかった言葉がある。貴方が忘れてしまった時間があり、貴方が忘れたいと願う時間もある。
一人芝居のそのたった一人の身体に流れる多くの可能性は、観ている私たちにも在るのだと、私にも多くの可能性が流れているのだと、思わせてくれる。
その可能性の1つ1つが輝いている。それらを1つ1つ結んで欲しい。それは貴方だけの素晴らしい星座だ。その星座に名前を付けるとしたらやはりこうなる。『今日までわたしにあった美しいものたち座』そして『今日からもわたしにある美しいものたち座』と。
是非観に来て欲しい。劇場で作品を通じて貴方と会えることを楽しみにしている。
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皆さんの穏やかさを祈って。