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俳句「音と記憶」

明け初めて看取りの朝の時鳥

 あの朝、ホトトギスは鳴いていただろうか。もうはっきりとは思い出せない。だが、父が亡くなった頃の薄暗い夜明けにホトトギスが鳴いていた記憶はある。

 未明に父が呼吸をしていないことに気づき、訪問看護サービスに連絡をした。訪問看護サービスを通じて医師を呼んでいただき、その後医師と訪問看護師も来てくださって、死亡を確認。医師が死亡診断書を書いて帰られた後、二人の訪問看護師がエンゼルケアと呼ばれる死後の処理をしてくださった。それらが終わる頃しらじらと夜が明け始めたのだが、果たしてホトトギスは鳴いていたのか?

 死因欄は「老衰」となっていた。生ききったという意味だろう。

※ 同じく「時鳥」の句を「喜怒哀”楽”の俳介護」 https://haikaigo.com 
に掲載しています。よろしければ、こちらもご高覧ください。

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