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詩「虎魚(オコゼ)」

答えはわからないけれど

どうして世の中には
美しいものと醜いものがあり
どうしても食べ物には
おいしいものとまずいものがあるのか
その答えはわからないけれど

もしもこの世のすべてが美しく
すべてがおいしかったなら
人は生きる目的を
なくしてしまうかも知れないし
人はすべての生き物を
食べ尽くしてしまうかも知れない

だから神様は
魚がみんな食べ尽くされないように
虎魚のような魚の中に
おいしさを隠しておいたのに
人はそれさえ見つけてしまったのです
僕らはすこしは智恵を
恥ずかしいと感じてもいいのじゃなかろか?

でも、せめて知ってしまったらおいしさなら
幸せな気持ちで食べてあげよう
自分たちの貪欲を
ほんのすこし感じる辛さを
わさびの代わりにして・・・

※ この作品は和歌山県海南市の料亭「美登利」の
 主人・千賀知起さんの出版したエッセイ『食の感性』に
 挿入詩として書かせていただいたものです。(同著に
 掲載した詩と一部表記を変更しています)
  おいしい料理をリーズナブルな価格で提供して
 くれるお店なので、海南市の近くに来られた方は
 ぜひ一度お立ち寄りください。

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