短歌「13年」

東北の震災の忌の巡りきていまだに遺骨なき人いたまし

 今日で東日本大震災から13年。この13年間だけでも痛ましい出来事が数々起きた。新しい衝撃に晒されて、古い記憶は少しずつ風化していく。「風化させてはならない」と多くの体験者たちが努力しているが、時間は残酷で、賽の河原の鬼のように、体験者たちが積み上げてきた石積みを容赦なく崩す。時間という鬼に抗うためには、体験者だけでなく非体験者もことばにし続ける以外にない。

 評価される作品を作ることだけが、文学の目的ではない。写真や映像とは違い、その場にいなくても作れるのが文学だ。極論すれば、誰もが震災歌・震災句を詠める。陳腐と言われようと、リアリティがないと言われようと、作られた作品は一石だ。

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