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俳句「山寺ひそと」
山寺に住職はなし水の秋
母は高野山から南に下った山間にある寺の住職をしていた祖父と祖母のもとに生まれた。四人姉妹の次女で、祖父と祖母は、母に婿をとって寺を継いでもらうつもりであったという。だが、祖父母の意に反して母は父と恋仲になり、反対を押し切って結婚してしまった。父の話によると、姉が生まれるまでは寺の門を潜らせてもらえなかったそうだ。
母たち四姉妹は、結局誰も婿をとらず、そこは檀家の寺であったので、祖父が亡くなると祖母と末の妹は寺を出て、新しい住職が迎えられた。
その住職さんも高齢で寺を去って、いま母の生家の寺に住職はいない。近くに谷が流れ、水のうつくしいところである。