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俳句「彼岸西風」

死者からはこの世があの世彼岸西風

 「こそあど」ことばの「こ」は近称、「あ」は遠称を表わす。「この」は自分の近く。「あの」は自分の遠く。だから、「この世」は自分の手が届く世界(自分のいる世界)、「あの世」は自分の手が届かない世界(死者のいる世界)である。

 もっとも、こちらから見たら「あの世」でも、あの世の人たちにとっては「この世」であり、あちらから見たら、こちらが「あの世」となる。国と国、人と人も同じだろう。

 そもそも「あの世」とは、私たちが思っているほど遠くではないのかも知れない。実は「あそこ」ではなくて、「そこ」にあるのかも……。とは言え、「その世」などと言えば、「どの世?」と訊かれるだろうけど。

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