俳句「蟬よ、なに思う?」
飛べぬまま絶えたる蟬も晩夏かな
わが家の庭では、夏場に熊蝉が羽化する。植木や野菜、雑草などについている蟬殻を数えると十数個はある。葉陰などに隠れているものもあるので、一夏で少なくとも二、三十匹は羽化しているのではなかろうか。
それと共に毎夏、二、三匹は羽化して間もなく地面に転がっている蟬を見かける。見つけた時にはたいてい蟻の餌食となっている。
こんな時、土中から出て羽化まで出来たのだから、この蟬がそれなりに満足しているとは思われない。無念だったろうと思ってしまう。土中にいる蟬の気持ちも想像出来ないし、蟬を得た蟻の気持ちにもなれない。
自分の想像力の乏しさと他者を理解することの難しさを思う。
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