テスト・通知表・宿題がない小学校!? 元不登校児が映画「夢みる小学校」を観てきた
教育界隈の方はご存じかもしれませんが、今年2月に公開された映画「夢みる小学校」が宮崎に初上陸。居ても立ってもいられず、観にいってきました!
というのも、私は元不登校児。型にはめられることに苦しみ、テストや通知表や宿題をする意味が理解できず、「先生」を名乗る存在に心を殺されかけました。
だからテストも宿題もない!「先生」がいない! なんて学校が、日本に存在するなら観なければと思ったのです。
最初の10秒で「この学校は何かが違う」
映画って上映前に、予告や広告が入りますよね?
「夢みる小学校」は子どもたちが学校へ入っていくシーンから始まったんですが、実は冒頭10秒くらい、この映画が始まったことに気づきませんでした。
集団登校をしていない、ランドセルを背負っていない、建物が学校っぽくない。加えて、まるでとっておきの遊び場へいくかのような、めちゃくちゃいい笑顔で子どもたちが歩いていたので、まさか登校シーンだと思わなかったんです。
あとはずっと「ふつうの学校」を打ち破るシーンの連続でした。
例えば、映画内に登場した「きのくに子どもの村学園」の様子は・・・
整列をしない、させない。「静かにして」とかいわない。
机や椅子から大きな遊具まで、子どもたちが設計から制作まで全部やる。
「先生」ではなく「大人」。前に立たず、子どものサポートに徹する。
国語、算数、英語なんて教科は時間割にない。
授業時間に何するか、子どもたちが話し合って自分たちで決める。
外部へのアポ取りは、まず子どもたちが電話する。
どんな姿勢をしていても怒られない。疲れたら授業中でも休んでOK。
子どもも大人も平等に1票を持つ。多数決で先生の意見が取り下げられることもしばしば。
興味がある分野ごとにクラス分けするから、学年がごちゃまぜ。
順位を決めるテストも、数字で成績を表す通知表も、やってこなきゃいけない宿題もない。(なのに卒業生は優秀!)
ほんとに学校?って思いますよね。
でも、文部科学省の認可を受け、学習指導要領にも準拠している、正真正銘の学校なんです。
「こんな学校に通いたかった」
先ほど挙げた取り組みも画期的ですが、なにより理念やポリシーがすばらしい。
印象に残った映画内のセリフを書き出してみます。
「自由には責任があるなんて言わない。自由にしていい。責任は大人が全部とる」
「意味のない校則は、子どもたちから考える力を奪うだけ。遅刻という概念や定期テスト、通知表などは、やりなさい作りなさいという法的根拠がないからこの学校にはありません」
「人生は問いに満ちているのに、子どもの頃から問いをし続けないでどうするんですか」
「子どもたちに自分のままでいいんだよ、やりたいことをやっていいんだよ、って伝えてます。やりたいことをやって、好きなことが1つ2つと増えていけば、自分のことも好きになっていく」
映画に出てきた学校はどこも、子どもファーストなんです。子どもが興味をもったら、とことん好きなようにやらせる。そしたら子どもは、勝手に学んでどんどん新しいことを吸収していく。新しい分野にも興味が湧いてくる。
それだけ。でも、それだけを実現できる学校が、果たして日本にどれほどあるのか。
「私のままの私を認めてほしかった、こんな学校に通いたかった」
不登校児だった私が、そう呟きました。
こんな学校ばかりだったら、そもそも「不登校」という言葉自体が存在しないかもね。
中学で流した涙に比べたら梅雨なんて大したことないね 二川智南美