「手紙の時間」- 季節の贈り物、お中元の手紙 -前編・送付状-(全2回)
お中元とは
季節は日毎に進み、青々と潤う木々にすこしずつ初夏の兆しを感じるようになりました。
そろそろお中元の季節がやってきます。
お中元とは、お世話になっている方に半年間の感謝の気持ちを贈る行事です。旧暦の1月15日を上元、7月15日を中元、10月15日を下元としお供え物をする古代中国の風習が由来となっています。
この中元が日本のお盆の時期と一致したことで、先祖供養の意味もこめてお世話になった人や親戚に感謝の気持ちを込めた贈り物をする習慣が生まれ、今に至ります。
古くはお米や素麺などお供え物になるものが主な贈り物でしたが、現在は嗜好品や洗濯用洗剤など、先方の好みに合わせてその種類は多岐に渡ります。
今回は、前編として、お中元にまつわる手紙について、贈り主が書く「送付状」と、後編には受け取った方が書く「お礼状」の2回に分けて
POSTORY代表の近藤千草さんとともにご紹介します。
お中元に添える送付状
お中元は直接持参するほか、デパートなどから配送することが今や一般的になりました。配送の場合は手紙を別途お送りし、あらかじめどのようなものが届くか分かるようにすると、より丁寧です。
また、お中元を受け取った場合は、感謝の気持ちを記したお礼状をお送りします。
最初の画像でご紹介しているのは、上質な手漉き和紙に榛原の金魚文様がほどこされた見目涼やかなグリーティングカードです。
合わせた切手は榛原本店が所在する日本橋をモチーフにしたものです。
江戸時代に五街道の起点となった日本橋は、今も昔も心豊かな生活を育む街です。
涼風を運ぶ青もみじの葉書
明治期に活躍した日本画家 伊藤綾春による絵はがきに乗せて、感謝の気持ちとお届けのお知らせをお送りします。
受け取る方が、紙ものや文具がお好きな方でしたら、きっとこの切手の愛らしさにもお気づきになるはず。
ここでは、お中元と送付状のマナーについてご紹介します。
お中元を贈る時期
首都圏では早くは6月下旬、または7月上旬から15日頃までが一般的です。
旧盆の習慣の残る関西では7月下旬または8月1日頃から8月15日頃まで、その他地域によって違いがあります。
遅くなった場合には「暑中御伺」として立秋前日(8月6日頃)までお贈りすることができます。
以降は「残暑御伺」として8月下旬までお贈りすることが可能です。
お中元は誰に送るもの?
お中元の注意事項
お中元は、末永いお付き合いをお願いする意味で毎年お贈りするものです。
今回のみ贈る場合、掛け紙の表書きは「御中元」ではなく、「御礼」や「感謝」としましょう。
お中元とお歳暮は必ずセットでお贈りするものですので、一年に一度の頻度で感謝の品物を贈る場合は冬の「お歳暮」の機会を利用します。
送り状としての手紙
品物とは別にお送りする手紙を「送り状」と呼びます。
封書、一筆箋、カード、葉書、どちらもお使いいただけます。
送り状は目上の方に送る場合にも葉書で失礼にはあたりません。
送り状、5つのポイント
上記は厳密なルールではなく、いわば相手を思う気遣いや思いやりを端的に表したものです。
例えば①は、品物が到着するよりも前に手紙で「◯◯様がお好きとおっしゃっていたビールをお届けします」と事前に伝えておけば、冷蔵庫を少し空けておく準備ができるかもしれません。
または、当日受け取れるように予定を立てられますし、品物が届く前に楽しさをお届けすることができます。
②の縦書きの理由は、正式な手紙は縦書きであると同時に、礼を尽くす意が込められているためです。
あまりによそよそしいと感じられる場合には横書きでも結構ですが、目上の方へのお中元の添え状や送り状には、やはり縦書きをおすすめいたします。
お喜びいただけるように、という感謝の贈り物であることを思うと、それぞれの関係性に適した手紙になると思います。
送り状の文例
その他、このような言い回しもご利用いただく事ができます。
送り状 その他の文例
※はがきに書く場合には、頭語(拝啓)、結語(敬具)は必要ありません。
※はがきの場合には特に、どなたの目に入ってもよいように内容に配慮します。
※ 本連載に掲載の切手は、
日本郵便株式会社において販売終了しているものを含みます。
何卒ご理解の程お願い申し上げます。
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