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【エジンバラ 大学留学:後期】スポーツと国際開発①Sport, Society and International Development
こんにちは。後期で目玉の授業といってもいいSport, Society and International Developmentについて書いていこうと思います。エジンバラは、ビジネスだけでなくパブリックに関するスポーツの授業があるのが目玉です。
パブリック関係の授業を受けて思ったこと
スポーツの本質ってなんだっけ、スポーツの持つ力はなんだっけ、無意識に礼賛していないっけということをきちんと考える授業になっていたことです。
ビジネスの場合は、その辺のことは少しうやむやにして、どう利益を作るかみたいなところにフォーカスがいきがちですが、パブリックサイドでは利益でなく、スポーツの本質を考え、何ができてできないかということが重要になります。
別の視点からは、普段僕らがスポーツに抱いているスポーツって素晴らしい!みたいなイメージはよくよく考えると、実はそうではないということもできます。少し違った角度からみてみると、スポーツは政治利用されて、ナショナリズムを煽っていると言う見方だってできるんですよね。
単純にスポーツは楽しいし素晴らしいという視点もいいと思いますが、一方で見方によっては、僕たちが誰かからスポーツの幻想のようなものを植え付けられている可能性にも冷静に気づいておくことは重要なのかもしれません。
最後にこの回で自分が考えたことも記載します。
さて、本題に戻ると、この授業の担当は Professor, Dr Grant Jarvieです。結構この道では有名な方らしいです。なんと言っても肩書きにProfessorがついています。日本では教授というと1つの学部に数名いらっしゃるイメージですが、イギリスでは、Professorかなり少ないです。学部長クラスと言えばいいでしょうか。そのため、Professorが自ら教鞭を取るということはあまりないようです。
この授業では、スポーツ、社会、国際開発の研究と理解に関連する理論、概念、政策、証拠を扱います。理論と実践の間の相互作用を比べ、批判的な検討を行うとのこと。特に今は、SDGsとの関連で色々とホットトピックがありそうです。
基本テキストとして、Professorが書いた『Sport, Culture and Society』を毎週少しづつ読んでいこうと思います。こちらのまとめもNoteしたいなと思います。
第一回目のレクチャーで語られたこと:スポーツが変化を起こすには?
スポーツによる変化を起こすStepは、以下の通りです。
当たり前かもしれませんが、超重要なStepだと思います。
①問題の把握
②証拠と分析と概念化(特に開発においては、証拠は結構難しい)
③コンテクストの理解
④解決策の提案と実行
スポーツが関連する開発の分野
2週目のSDGsで詳しく取り上げると思いますが、例えば教育、平和、健康、犯罪防止などがあります。
JICAのホームページも参考になったので、載せておきます。
Week1に取り上げたテーマと論文
Week1ではスポーツは何ができるかということを批判的に検討しています。
皆さんは、Sport for development and peace (SDP)という言葉を知っていますか?僕は恥ずかしながら知らなかったのですが。スポーツを開発を後押しするために使おうという考えで、2000年初頭に盛り上がった考えらしいです。しかしながら、後に多くの批判が集まることになります。
当初みんなスポーツを無批判に礼賛し、スポーツが色々な問題を解決してくれると思っていたのですが、実はスポーツは万能じゃないし、期待していた役割はそんなにないんじゃない?みたいなことが個別のプロジェクトで明らかになります。
例えば、アンゴラのプロジェクトでのスポーツプログラムでは、チームワークの醸成を期待していたのですが、実は住民はそんなことよりも生きるためのスキルが欲しかったというケースがありました。
参考:国際開発とスポーツ援助 ―スポーツ援助の動向と課題―(小林,2014)
その他の批判としては、スポーツの途上国への輸出自体が、西洋側の価値観を押し付けているだけで、スポーツ文化の押し付けとなっている批判、コンテキストを無視しているなどがありました。
<思ったこと>
上記の視点、目から鱗がというか痺れました。(お前気付けよと言わないでください)
確かにスポーツが何かということを一度考えてみると、スポーツは文化的な側面が強いのではないかと思いました(もちろん他にいろんな側面はあります)。文化というのは、なくても生きていけるものですよね。ただ、人の生活を豊かにするためには、欠かせないもの。だから時にはアンゴラの件のように、まず生きるための支援くれよとなるんですよね。
スポーツを文化と考えると西側で人生を豊かにすると考えられている文化を貧困国にやってみなよというのが正しいか?と言われれば確かに正しくない気がします。
極端な例ですが、これを食文化に置き換えれば、わかりやすいでしょうか。
我々が日本食を他の国に健康で美味しいからこれを食べましょうと急に言ったらうまくいかないですよね、多分。。
それなのに何故みんな最初は、疑問を抱かなかったのでしょうか。それは、スポーツの強力な特性の1つである”国際的”が、関係しているかもしれません。例えば、プレミアリーグはもう全世界で憧れてみられているわけですよね。そのため、サッカーを通じたプログラムに関して割と抵抗がないのではないでしょうか。
したがってこう考えれば、学者の批判に、このさらなる反論として、まあ、みんなサッカー知っているし、もう世界の文化になっているので、サッカー=西側の文化っていう批判はどうなの?という意見も成り立ちます。
(こうして両者の意見を発展させていく思考は大事ですよね)
要は、コンテキストを考えましょうということですね。
いずれにしても、無批判にスポーツの可能性は偉大だということは、そんなに正しくない。
つまり、スポーツが変化を起こすには、上記で述べたStepをきちんと吟味することが大事ということですね。
最後に少しだけ、今週の論文を紹介します。
Reconceptualizing sport for development and peace (SDP): an ideological critique of Nelson ‘Madiba’ Mandela’s engagement with sport(Oscar & Kola, 2019)
映画のインビクタスでも有名な南アフリカのラグビーチーム。マンデラは、スポーツが人種対立を乗り越えたことに言及しています。
この論文は、マンデラのこのコメントに関してスポーツの可能性について批判的に捉えています。(ただ、自分の英語力の無さで、十分に理解できませんでした)興味ある方は是非ご自身で読んでください。
Rethinking Sportland: A New Research Agenda for the Sport for Development and Peace Sector(Richard et al, 2019)
SDPについて経緯や批判点が記載されたもの。個人的には、上記で紹介した小林先生の論文がわかりやすかったです。
2週目は、SDGsですね。
まずはSDGsの内容からきちんと理解しないといけないですね。
では!